フォー・ノーツ株式会社は2022年10月11日、「年功序列をはじめとする人事66に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2022年6月28日~29日で、勤務中の企業に人事66が「ある」とした国内のオフィスワーカー(正社員・契約社員)の、20代、30代、40代、50代以上の各年代で100名ずつ、計400名から回答を得た。調査から「年功序列」での人事66の実態や、抱える課題などが明らかとなった。
“年功序列の企業”では「転職願望」を持つ従業員が半数超え。「成果評価」と「年功序列」が混在する“組織構造のねじれ”とは

約7割の企業で「成果評価(成果目標の達成度)」を評価項目に取り入れている

旧来の年功序列による人事評価の問題点が指摘されている今、企業の評価制度の実態はどうなのだろうか。フォー・ノーツはまず、「自社の評価制度で採用されている評価項目」を尋ねた。すると、「成果評価(成果目標の達成度)」が69.8%で最も多くなった。以下、「行動評価(目標達成に向けたプロセスおよび行動)」が60.5%、「能力評価(知識やスキル)」が50.5%、「あいまい・わからない」が17.3%、「バリュー評価(自社の価値観や行動指針)」が15%、「360度評価(多面的評価)」が14%という結果になった。
“年功序列の企業”では「転職願望」を持つ従業員が半数超え。「成果評価」と「年功序列」が混在する“組織構造のねじれ”とは

人事評価で重視するポイントは「成果・業績など仕事の結果」が最多

次に同社は、「自社の人事評価で最も重視されているポイント」を尋ねた。すると「成果・業績など仕事の結果」が43.3%で最多だった。以下、「あいまい・わからない」が19.5%、「行動・能力などの仕事のプロセス」が15.8%、「経験・勤続年数・年齢など」が11.3%、「業務内容・役割などの職務の重さ」が10.3%となった。
“年功序列の企業”では「転職願望」を持つ従業員が半数超え。「成果評価」と「年功序列」が混在する“組織構造のねじれ”とは

自社が「年功序列である」とする回答は7割超に

続いて、同社が「自社は年功序列か」を尋ねると、「年功序列である」(17.8%)と「やや年功序列である」(54%)の合計が71.8%となった。同社は前出の結果も踏まえて、「評価ポイントでは成果を重視する一方で、多くの企業で年功序列の要素も併存している」と考察している。
“年功序列の企業”では「転職願望」を持つ従業員が半数超え。「成果評価」と「年功序列」が混在する“組織構造のねじれ”とは

「年功序列である」と回答した人が最も“転職願望が高い”傾向に

さらに同社は、「自社でいつまで働きたいか」を尋ねた。すると、「今すぐにでも転職したい」が9.3%、「いい転職先があれば転職したい」が36.3%で、「転職したい」との回答の合計は45.6%となった。

この回答を「年功序列である」、「やや年功序列である」、「年功序列ではない」のグループ別に分析すると、「年功序列である」とするグループでは、「転職したい」人の合計が54.9%(すぐに転職したい:15.5%、いい転職先があればしたい:39.4%)となった。また、「やや年功序列である」グループでは同合計値が43.1%(すぐに転職したい:8.8%、いい転職先があればしたい:34.3%)、「年功序列ではない」グループでは、44.3%(すぐに転職したい:6.2%、いい転職先があればしたい:38.1%)となった。
“年功序列の企業”では「転職願望」を持つ従業員が半数超え。「成果評価」と「年功序列」が混在する“組織構造のねじれ”とは

転職を希望する理由は「人事評価に納得できない」が最多

さらに、「転職を希望する理由」を尋ねると、「給与や処遇など人事評価に納得できない」が47.8%で最多だった。以下、「自分が成長できるビジョンがもてない」が47.3%、「会社の将来性に不安を感じる」が27.5%、「会社を信頼できない」が25.8%、「心身共に健康に働ける環境がない」が24.7%と続いた。

また、先のグループ別の結果では、「年功序列である」グループの「人事評価に納得できない」との回答が71.8%となり、他グループに比較してその割合の高さが顕著に現れた。
“年功序列の企業”では「転職願望」を持つ従業員が半数超え。「成果評価」と「年功序列」が混在する“組織構造のねじれ”とは

年功序列の企業における「人事評価への不満要素」とは?

最後に、「年功序列である」グループの特徴を探るべく、「人事評価に納得していない理由」を尋ねた。すると、「評価基準に沿って正しく評価してもらえない」が43.4%で最も多くなった。以下、「評価基準が曖昧かつ明示されていない」が42.2%、「評価結果に対し納得のいく説明がない」が39.2%、「評価者が普段の仕事ぶりをしっかり見てくれない」が36.7%と続いた。
“年功序列の企業”では「転職願望」を持つ従業員が半数超え。「成果評価」と「年功序列」が混在する“組織構造のねじれ”とは
本調査から、従業員の仕事の成果を重視する評価制度が多く取り入れられているものの、年功序列の要素が残っている企業が7割を超え、評価制度と企業文化にねじれが生じている状況がうかがえる。また、自社が年功序列だと感じる人は、そうでない人に比べて転職願望が高い傾向にあることもわかった。従業員のエンゲージメントを保ち、離職を防ぐために、まずは自社に年功序列の要素が潜在するかを見極め、正当な評価を行える環境を整える必要がありそうだ。

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