半数超のビジネスパーソンが「10年前と比べて一般社員に期待されることが変わった」と回答
「一般社員に求められること」は、この10年でどのように変化してきたのだろうか。まずLAは、「10年前と現在を比較し、一般社員に期待されることは変わったか」と質問している。すると、「変わった」としたビジネスパーソンは全体で54.7%となった。管理職の回答だけでみると「変わった」と回答した人は71.5%にのぼり、マネジメント視点では「一般社員に対する期待の変化」をより強く感じていることがうかがえる。重視されるのは「定型業務」から「非定型・プロジェクト型業務」へ
続いて同社は、「この10年で一般社員に求められることが変わった」とした回答者に対して、「10年前に一般社員に期待されていたこと」と「現在、一般社員に期待されていること」をそれぞれ尋ね、その回答率の差を比較している。すると、10年前と比べ最も“増加”した項目は、「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」で+51.5ポイントだった。また、「チームで協力して成果を上げる」が+44.1ポイント、「周囲を巻き込みリーダーシップをとる」が+42.9ポイントなどとなり、それぞれ増加した。「定型業務」から「プロジェクト型業務」へと一般社員の業務内容が変化し、部門・部署を超えて“チーム”で遂行する業務能力が期待されるようになってきたことがうかがえる。
一方、10年前と比べ最も“減少”した項目は、「定型的な業務を確実に遂行する」で-43.1ポイントだった。以下、「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する」が-15.3ポイント、「個人として成果を上げる」が-12.5ポイントなどと続いた。このように、「ゼロベースで考えること」、「時に自らの責任で判断・行動すること」なども期待されるようになってきている様子がうかがえる結果だ。
「期待されていること」と「実際に担っている役割」にはギャップも
また「『一般社員に期待されていること』と『実際に担っている役割』のズレ」に関する質問で、最も大きなズレがあったのは「周囲を巻き込みリーダーシップをとる」で、60.5%が「一般社員に期待される」としたものの、「実際に担えている」との回答は23.3%にとどまり、その差は37.2ポイントとなった。ほかにも、期待と現実の差が大きかった項目は、「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」が34.8ポイント差、「自ら現場で判断し、行動する」が31.3ポイント差、「チームで協力して成果を上げる」が23.4ポイント差などとなった。一般社員に期待されることが大きく変化する一方で、実態が追いついていないことがわかる。
「状況の変化」や「顧客・マーケットのニーズの多様化」が“期待されることの変化”に影響か
同社が、「一般社員に期待されることが変化した理由」を聞くと、「状況の変化が速くなった」が57.2%で最多となり、次いで「顧客やマーケットのニーズが多様化した」が42.6%と続いた。VUCA時代において、顧客・マーケットの多様化に一般社員も適応する必要が出てきたといえる。また、「チームメンバーの特性やレベル感が多様化した」は、管理職の回答が一般社員に比べて4.7ポイント高い結果となった。管理職は、一般社員が感じるよりも「チームメンバーの特性やレベル感が多様化している」と捉えていることがうかがえる。
一般社員に求められるスキル・知識は「タイムマネジメント」が第1位。コミュニケーションスキルも
さらに、「一般社員に期待されることのうち、特に重視されるようになってきたスキルや知識」について尋ねた質問では、「タイムマネジメント」が最も多く、55.8%となった。同社はその背景について、「『働き方改革による残業時間削減』など、短時間で効率的に成果を上げることが求められるようになったことがある」と考えているようだ。また、「言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)」(47.6%)や「共感力」(32.3%)など、コミュニケーションに関するスキルも回答率が高くなった。チームで成果を上げるために、多様なメンバーとのコミュニケーションを通して関係性を構築する必要があることが背景にあると推測できる。