株式会社フリーウェイジャパンは2021年12月6日、中小企業および零細企業を対象に実施した、「コロナ禍の公的助成金・補助金に関する利用実態調査」の中から、「冬期ボーナス」に関する調査項目の結果を発表した。調査期間は2021年11月10日~21日で、中小企業・零細企業の従業員248人と、代表取締役79人から回答を得たという。これにより、中小零細企業における、賞与支給に関する実態や、業績の回復状況などが明らかとなったようだ。
冬のボーナス、いまだ半数の中小零細企業が「不支給」か。業績は回復傾向も、先行きの不安から支給の見通し立たず

中小零細企業のボーナス支給、5割近くが「不支給」に

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、中小零細企業における冬の賞与支給の状況は、例年と比べて変化しているのだろうか。はじめに同社が、「2021年度の冬のボーナス支給の有無」について尋ねると、最も多かったのは、「支給されなかった/支給される予定は無い」で48.4%に。一方で、「支給される予定だが、支給される金額は分からない」が30.2%、「まだ支給されていないが、支給される予定で支給額も把握している」が17%となり、支給予定者は合計で47.2%となっている。「支給予定」と、「不支給または不支給予定」との回答がほぼ拮抗する形だ。
冬のボーナス、いまだ半数の中小零細企業が「不支給」か。業績は回復傾向も、先行きの不安から支給の見通し立たず

支給額のボリュームゾーンは昨年と同様の「10万円~30万円未満」

調査では続いて、「支給された」または「まだ支給されていないが、支給される予定で支給額も把握している」との回答者に、「支給額」を聞いている。すると、回答者が最多だったのは、「20万円~30万円未満」で25.9%となり、次いで、「10万円~20万円未満」が18.5%に。この結果から、支給額のボリュームゾーンは「10万円~30万円未満」で、同社が昨年実施した調査と同様の結果であることがわかった。一方で、昨年度調査での支給額の最多回答が「10万円以上~20万円未満」だったことと比較すると、金額は増加傾向にあることがうかがえる。
冬のボーナス、いまだ半数の中小零細企業が「不支給」か。業績は回復傾向も、先行きの不安から支給の見通し立たず

約7割がボーナス支給額に「納得」と回答

「支給された」または「まだ支給されていないが、支給される予定で支給額も把握している」とした回答者に対する、「支給額に対する評価」についての質問では、「納得している」が最多の48.1%、「やや納得している」が18.5%で、合わせて66.6%になった。長引くコロナ禍による経済停滞を踏まえて、今回の支給額に納得している従業員が多いことがうかがえる。
冬のボーナス、いまだ半数の中小零細企業が「不支給」か。業績は回復傾向も、先行きの不安から支給の見通し立たず

来年度の支給については、「見通しが立たない」経営者が4割以上に

続いて、経営者に対して、「来年度のボーナス支給の見込み」を尋ねている。すると、最も多くなったのが、「見込みが立っていない」で46.8%、次いで、「わからない」が35.5%となった。これに対し、「見込みが立っている」は17.7%にとどまっていることから、多くの企業で先行きの見通しが立てられていないのが実態と言えそうだ。
冬のボーナス、いまだ半数の中小零細企業が「不支給」か。業績は回復傾向も、先行きの不安から支給の見通し立たず

「上期から下期にかけて業績が上がった」との回答は3割未満にとどまる

さらに、同社が「上期と下期の業績変化」について聞いたところ、「年間を通して業績が上がった」が21.5%、「上期は業績が下がったが、下期では業績が上がった」が7.6%となり、上期から下期にかけて業績が上がった企業は、合わせて29.1%となった。

同社が今年上期に実施した「夏のボーナス実態調査」で、「前年下期から上期にかけて業績が上がった」との回答が18.5%であったことと比べると、「業績が回復した」との回答が10.6ポイントの上昇となり、回復傾向にあることがわかった。これを踏まえると、ボーナス支給については今後の状況を見通して、見送りにしている企業が多いことが推測できる。
冬のボーナス、いまだ半数の中小零細企業が「不支給」か。業績は回復傾向も、先行きの不安から支給の見通し立たず
業績が回復傾向にありながらも、いまだ先行きが見通せないことから、ボーナス支給に踏み切れない企業も一定数いることがうかがえる結果となった。資金繰りが不透明な状況が今後も続くと考えられるなか、従業員に対してどのように還元していくかは、今後も頭の痛いトピックになりそうだ。

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