過去10年で“時間を費やした”ことのトップは「仕事」
2023年5月に内閣府が公表した「三位一体の労働市場改革の指針」では、自身のキャリアを会社に委ねるのではなく、自分の意思で主体的にキャリアを考え選択する「キャリアの自律」が重要だとしている。未だ年功序列や終身雇用といった日本型雇用が定着する日本において、主体的にキャリア形成を考える社会人は、どの程度いるのだろうか。はじめにIndeedは、「家庭・子育て」、「仕事」、「趣味」など人生におけるさまざまな事柄の中で、「直近10年で『時間を費やした割合が高いこと』、『重視したこと』、『現在の自分に最も影響を与えたこと』」を尋ねた。すると、いずれの項目でも「仕事」が最も多くを占め、人生における仕事の重要性や現在の自分への影響力の高さが見て取れた。
「現在の仕事や働き方に対する満足度が高い」とした人は2割未満にとどまる
続いて、同社が「現在の仕事や働き方に対する満足度」を10段階評価で尋ねたところ、「10点」が2.8%、「9点」が3.8%、「8点」が11.5%だった。8点以上の高スコアだった人は18.1%と、2割未満だった。「10年前から継続的に将来設計をしてきた人」は3割未満
続いて同社は「10年前と、現在の将来設計の有無」を尋ねた。すると、「10年前も現在も、主体的にキャリアを考え将来設計をしてこなかった/していない」が46.8%で最も多かった。一方、「10年前も現在も、主体的にキャリアを考え将来設計をしてきた/している」とした人は29.1%と3割弱にとどまった。また、「10年前は主体的にキャリアを考え将来設計をしていないが、現在はしている」は14.1%、「10年前は主体的にキャリアを考え将来設計をしてきたが、現在はしていない」は9.9%だった。この結果から、10年前から継続して将来設計をしている人は少数派であることが明らかとなった。
仕事の満足度は「将来設計の有無」と関連か
続いて同社は、10年前と現在ともに「将来設計をしてきた人」と「してこなかった人」を対象に、「仕事や働き方に対する満足度」を10段階評価で尋ねた。その結果、8点以上の高スコアだったのは「将来設計をしてきた人」が31.4%、「将来設計をしてこなかった人」が9.1%と、およそ3.4倍の差がついた。継続的かつ主体的にキャリアを考えて将来設計することが、自分にとって満足度の高い仕事につながる傾向にあるようだ。
“継続的な将来設計をしてきた人”の約8割が「よい未来を過ごせている」と実感
さらに同社は、前設問と同じ対象者に、「現在“よい未来”を過ごせているか」を聞いた。すると、「10年前も現在も将来設計をしてきた/している」と回答した人の「よい未来を過ごせていると思う」との回答は77.9%(「とてもよい未来を過ごせていると思う」:18%、「そこそこよい未来を過ごせていると思う」:59.8%の計)と、8割に迫った。一方、「10年前も現在も将来設計をしてこなかった/していない」と回答した人の同合計は43.1%(「とても~」:5%、「そこそこ~」:38.1%)だった。このことから、10年前から将来設計をしてきた人は、してこなかった人と比較して“よい未来”を実感している割合が1.8倍多いことがわかった。これを受け同社は「キャリア形成や将来設計が、その人にとって“よい未来”を引き寄せている可能性がある」と推察している。
将来設計をしてこなかった理由は「具体的な方法がわからない」
最後に、同社は「10年前、主体的にキャリアを考え将来設計をしてこなかった人」および「10年前も現在も、主体的にキャリアを考え将来設計をしてこなかった人」を対象に、「その理由」を尋ねた。すると、「何をしたらよいかわからないから」(26%)が最多だった。また、「将来の見通しがつかないから」(25.7%)も2割を超え、上位となった。以下、「その時の状況に応じて変わるから」(19.5%)、「面倒くさいから」(19%)が続いた。この結果を踏まえ同社は、「具体的なキャリア形成や将来設計の方法を知り、それがどのように将来につながっていくかを自ら考える機会や時間を作ることが、キャリア形成に向けた一歩となりうる」との見解を示している。