多様な人材の活躍環境を整えるべく「生理休暇」の適用範囲拡大や名称変更を実施
キリングループでは、従業員一人ひとりの多様な視点や価値観を発揮できる環境を整え、多様な人材が持つ可能性を最大限に発揮することによるイノベーションの加速を目指し、多様性推進プラン(“KIRIN Diversity, Equity and Inclusion Plan”)を策定している。今回はその一環として、2023年11月1日より、「生理休暇」に関する適用範囲および取得事由を拡大する制度変更を行うという。制度変更の概要は以下の通り。
●「積立休暇」(失効した年次有給休暇を上限日数まで積み立てて、一定の利用条件のもと取得できる休暇制度)の取得事由に、「エフ休暇」を追加。これまで生理日に限定していた「エフ休暇」の適用範囲を、月経前症候群(PMS)など生理に関する体調不良にも拡大
経済産業省によると、月経前症候群(PMS)などの生理に付随する症状による労働損失は、1年間で4,911億円に及ぶとしている。「生理休暇」は労働基準法第68条に定められる法定休日で、企業の導入義務が定められている制度だが、直接的な表現名称であるなどの理由から、取得率は非常に低いという課題がある。同グループでは制度の名称を変更することにより、従業員が利用申請する際に感じる「心理的な障壁」を取り除き、取得率の向上を目指したいという。制度変更により、女性の健康課題への貢献と、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を進めたい考えだ。
同グループでは、2019年に策定した長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(KV2027)」において、「世界のCSV先進企業」(CSV:Creating Shared Value:社会と共有できる価値の創造)を目指している。その中で、「イノベーションを実現する組織能力」の1つとして、「多様な人材と挑戦する風土」を掲げた。本制度変更は、“多様な人材の活躍を阻む障壁を解消する”という「Equity(公平)」の観点から実施しているとのことだ。
同グループは今後も、女性の健康課題への貢献を目指すほか、多様な人材が最大限の能力を発揮できる環境を整備していくという。あわせて、「Diversity」、「Equity」、「Inclusion」の3つの柱からなる「キリングループ多様性推進プラン」に沿い、「多様な人材と挑戦する風土」の実現を加速していきたいとしている。
「生理休暇」の制度を導入しているものの、従業員の取得率は低く、制度が形骸化している企業もあるだろう。本事例のように、ただ制度利用を促すだけでなく、「どうすれば使いやすくなるのか」を考慮し見直すことで、女性の働きやすさやパフォーマンス向上につながっていくだろう。