人材を経営の中核とした離職率低下・エンゲージメント向上施策が認証取得に結びつく
レクストホールディングスが今回認証を取得した「ISO 30414」とは、国際標準化機構のマネジメントシステム規格の1つだ。人的資本の情報についてガイドライン化したもので、定量化・分析・開示を行うための国際的な指標となっている。生産性やダイバーシティなど、人的資本に関する11の項目と58の指標について数値化することや、社内外の比較、検討を行うことが可能となる。「ISO 30414」認証の取得企業は世界で8社あり、そのうち日本企業が4社を占めるという。同社の認証取得は、中小企業として世界初とのことだ。レクストホールディングスはこれまで、「人に対する投資」、「人を財産とする」という考え方のもと、人材を経営の中核に置き、毎年の人事異動アンケートや役員に対する360度評価など、離職率の低下・社員のエンゲージメント向上につながる取り組みを実施してきたという。そうした中、同社では2022年6月より認証取得に向けた準備を進め、同年12月より審査を依頼した。その結果として認証を受けられたのは、先述の取り組みが正式に評価されたと自負しているとのことだ。その他にも同社では、人的資本の取り組みとして、以下のような制度を導入している。
●CVC(チャレンジベンチャーコンテスト)制度
誰もが自由な発想で応募でき、優れた提案内容をした人には、その事業資金を出して担ってもらう制度
●禁煙サポート
禁煙サポート手当を導入し、禁煙外来にかかる自己負担額を会社が全額負担する
●複線系キャリアパス
7つの職務の中から、社員本人の適正・能力・専門性などに応じ、自身に合った職務を選択できる
●アルムナイ制度
退職者を再度社員として迎える制度
今回の「ISO 30414」の認証取得を受け同社は、人的資本経営の模範企業となるべく、離職率低減やダイバーシティ向上といった働き方改革をより推進していく考えだ。さらに、世界の中小企業のロールモデルとなるだけでなく、上場する大企業として人的資本経営をリードしていきたいという。
人的資本経営への関心が高まる中、企業や従業員をはじめとするステークホルダー間の相互理解のためには、「人的資本の可視化」が求められるだろう。人的資本経営を推進したい企業では、こうした他社の取り組みを参考に、自社での人的資本情報を数値化してみてはいかがだろうか。