
4割の企業で、賃金制度を「直近3年間で変えた」もしくは「今年度に変える予定」
労働力人口の減少による働き手不足や、急激な物価上昇などの社会的背景もあり、企業の賃金動向に関心が集まっている。そうした中、今後に向けて賃金制度を変化させることを考えている企業はどの程度あるのだろうか。日本生産性本部はまず、「直近3年間(2020年~2022年度)で正社員の賃金制度を変更したか」を尋ねた。すると、「変えた」が36.8%、「今年度中に変える予定」が3.9%で、変えた、もしくは変える予定とした合計は40.7%となった。また、同団体が先述の「賃金制度を変えた」もしくは「変える予定」と回答した人に「その狙い」を聞いたところ、「社員のモチベーション・エンゲージメント向上のため」との回答が約6割で多数派となり、「専門人材の確保のため」は1割未満と少数派だったという。

約6割が物価上昇の影響を「賃金に反映する」と回答
次に、同団体は「物価上昇への対応方法」について尋ねた。すると、「主に月例賃金に反映させることで対応する(ベースアップ)」が39.4%、「主に一時的な現金支給で対応する(賞与や手当等)」が18.7%となった。物価上昇を受け、何らかの形で「賃金に反映する」ことを考えている企業は、合計58.1%だった。なお、この結果を従業員300名未満の中小企業だけで見てみると、「対応する予定がない」は半数を上回ったという。
正社員の賃金が上がりにくい理由とは?
続いて、「正社員の賃金が上がりにくい理由」を同団体が尋ねると、「いったん賃金を上げると下げることが難しい」が69%で最多だった。次いで、「労働生産性が高まっていない」が65.8%となり、生産性が伴わないことを問題視している企業が多くなっていた。
投資の重要度は「従業員への投資」が最多に
最後に同団体は、「重要性が高いと考える投資分野」について尋ねている。すると、最も多かったのは「従業員への投資」で90.3%と、他に比べて突出していた。以下は、「IT機器への投資」(47.1%)、「研究開発への投資」(45.2%)、「機械設備(IT機器以外)への投資」(40%)と続いたが、いずれもトップとの差は大きく、「人への投資」に重点をおいている企業が多いとわかった。