「仕事」と「育児・介護・家族の病気」の両立を体験し、多様な働き方の認知を支援
タケダは、雇用や昇進、異動等の機会を、個人の性別・年齢・国籍・性的指向・宗教などの属性にかかわらず公平に提供することで、従業員が能力を最大限に発揮して働ける環境づくりに努めているという。従業員同士が互いの個性を認め、尊重し合うことで、ハラスメントのない職場の実現を目指している。「働き方の多様性」もそうした環境づくりの一環であると捉えており、これまでも、育児・介護・家族の病気などによる時間の制約がありながらも仕事に取り組むメンバーへの理解を深める機会を求めていたとのことだ。そこで同社は、従業員が互いの背景を尊重し、職場におけるDE&Iの理解と働き方改革をさらに推進することを目的として、「Someone's Day」を開発した。同アプリケーションは、同社の事業拠点であるジャパンファーマビジネスユニット(JPBU)および日本オンコロジー事業部(JOBU)の従業員向けに開発したもので、多様な働き方の認知や自身の働き方の見直し、生産性の向上をサポートするという。JPBUが2021年度に実施した、DE&Iをテーマにしたスモールグループにおけるディスカッションにおいて、従業員からあがったアイデアを基に開発されている。
同アプリケーションを用いた体験型プログラム「Someone's Dayプログラム」は、日常業務を行うチーム単位で参加して実施するもの。プログラムでは、育児・介護・家族の病気に関連した突発的な出来事に対して、実際にメンバーが“業務を中断して帰宅する”といったイベントを約2週間体験する。プログラム開始前後には、参加者間でのディスカッションを通じて今後のよりよい働き方を検討し、職場内でのDE&Iの実践をさらに推進するという。
同プログラムの参加者からは、「子育てだけでなく、家族の急病時や介護が必要になった場合など、自分自身が体験していないケースについても日頃からの準備が必要だと気づいた」、「突発的なイベントが、いかに業務に大きな影響を与えるかを体験できた」などの声があがったという。
同社は、今後も多様な働き方や立場への相互理解を促すことで、参加者本人の働き方改革を実現したい考えだ。また、個人のリーダーシップ・マネジメント力の向上と、さらに多様な人材を活かせる職場風土の醸成を目指すとしている。
「さまざまな状況に実際に身を置きながら働く」という体験は、従業員それぞれが“自分事”としてお互いの立場を深く理解する機会となりそうだ。自社で多様な働き方の実現を目指す際には、このような取り組みを参考にしてみてはいかがだろうか。