フルリモートでの開発プログラムを実施、地方開発拠点で人員と体制の拡大へ
日本IBMとIJDSでは、2014年に北海道札幌市に開発拠点を開設し、地域限定社員の採用やシステム開発手法の高度化、アプリケーション開発やAIを取り入れた次世代超高速開発の推進などにより、地域発信で質の高いシステム開発を提供してきたという。また、リモートでの開発手法である「Dynamic Delivery」や、AIを取り入れたプロジェクト・マネジメントを可能にする「Cognitive PMO」の活用、バーチャルでのガレージ・セッションの実施など、国内のどこからでも開発プロジェクトに参加できるシステムを構築してきたという。さらに新型コロナウイルス感染症拡大によるリモート開発の加速を受け、同社は「これからのシステム開発は、全関係者が枠を超えて共創する『テクノロジーを活用した共創パートナーモデル』へと変革していくことが求められている」と考えているとのことだ。
そこで同社は、IJDSの開発拠点である「イノベーション開発センター」を「IBM地域DXセンター」として体制や人員を拡充し、それぞれの地域からシステム開発と運用を高度化していくことを決定した。本取り組みにより、地域のメンバーが自らの専門性を活かし、リモート体制で全国の顧客のプロジェクトを共創するとともに、メンバーの先進技術習得の機会を増やしたい考えだ。まず、北海道札幌市と沖縄県那覇市にあるセンターの人員拡大に着手し、2022年3月には宮城県仙台市にもセンターを新設するほか、九州などへも展開する計画だという。
本取り組みにより、日本IBMは、2024年までにIJDSと地域の協力会社をあわせた人員を2,500名規模まで拡大し、地域のDX人材育成と新しい働き方の創出を考えている。さらに、地域経済の発展、日本社会の変革の加速に貢献していきたいとしている。一方、IJDSでは、働く場所を問わないフルリモートの勤務体系を導入し、「自身や家族の事情」と「仕事」を両立しながら最大限に能力を発揮できる環境を提供し、地域活性化に取り組んでいくことを目指している。
また、日本IBMは、各所でのDX人材育成のために地域の教育機関と連携し、DXの基礎から実践までを学ぶ機会として「地域共創DXワークショップ」を展開する予定だ。さらに、社会人のリスキリングを支援する社会貢献プログラム「SkillsBuild」や、障がい者向けインターンシップ・プログラム「Access Blue」の実施により、就業機会や職場体験の機会を提供し、多様な人材育成を目指す方針を示している。
居住地域を問わず働ける環境や参加できるプログラムがあることで、さらに多様な人材育成と雇用創出が可能になると考えられる。地域課題と連携したリモートプログラムを実施するなど、新たな人材育成の施策を検討してみてはいかがだろうか。