新名称のもと「女性活躍推進」に重点を置き、制度を見直す
アサヒグループでは、2021年3月に「ダイバーシティ&インクルージョン ステートメント」を策定し、性別による差別の撤廃や、女性の地位向上に向けたグループCEOからのメッセージの発信、国内グループ各社の経営層向けのパネルディスカッションなどの取り組みを進めてきたという。今回、この取り組みをさらに推進すべく、新たに「ダイバーシティ&インクルージョン」に「エクイティ(公正)」の考え方を加え、名称を「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン ステートメント」に変更。一人ひとりの個性を歓迎し、尊重する想いを込めた“shine AS YOU ARE”をコアメッセージに据え、「すべての人が自分らしく、自由に輝くこと」を“DE&Iで実現すべき目標”として設定している。同社が推進する主な取り組み内容は以下の通り。
1. DE&I推進体制の構築
・DE&I委員会の設置2022年1月以降は年2回以上、国内グループ全体の取り組み方針を決定する場として、制度・仕組みの見直しや環境整備、風土醸成に向けた討議を実施
・DE&Iサポーター制度を導入
社員の参画意識醸成などを目的として、国内グループ会社の全社員の中からサポーター15名程度を選任。着任期間中に、「会社への提言」や「周囲の理解促進に向けた働きかけ」などを実施
2. 制度・仕組みの見直し
昇進および昇格要件や、評価制度の見直しを実施。性別を問わず、育児・介護等を含め多様なライフスタイルや価値観を尊重し合い、公正に処遇する制度・仕組みを強化する。また、男性の育児休業取得目標の設定などを検討3. 教育・風土醸成
・マネジメント層向け研修2022年1月、約900名のマネジメント層全員を対象に、「無意識の思い込みや偏見」に関する研修を実施。2023年以降は、新任マネージャーに対して毎年1回実施予定
・女性社員の研修への参加率向上
女性社員対象のキャリア研修実施により、選抜研修などの研修への女性社員の参加率を、現状の約10~20%から40%へ向上させ、女性社員のキャリア開発を支援する仕組みを強化
アサヒグループでは本取り組みを通じ、社員一人ひとりの個性が尊重され、個人としても企業人としても成長することを目指すという。さらに、誰もが自由に発言し、いたるところからアイデアが生まれるような企業風土を醸成したい考えだ。
より偏りなく、さまざまな個性が尊重される制度の構築や企業文化の醸成によって、多様化する個人のキャリアや働き方にフィットし、その相乗効果として企業成長も望めるのではないだろうか。アサヒグループの「DE&I」のように、時代の流れにあわせた人事制度の構築を検討していきたい。