株式会社帝国データバンクは2021年7月9日、「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」の結果を発表した。調査期間は2021年6月17日~30日で、全国の企業1万1,109社から回答を得た。なお、同社は「新型コロナに関する調査」を2020年2月より毎月実施しており、今回は、17回目となる。本調査の結果から、企業における新型コロナウイルスのワクチン接種に関する取り組みや、コロナ禍による業績への影響が明らかとなった。
8割の企業で「ワクチン接種の拡大」に向けた取り組みを実施。コロナ禍よる業績への影響は明るい兆しか

「ワクチン接種の取り組み内容」は企業規模によって差が見られる

感染力の強い変異株が広がり、ワクチン接種が自治体や各企業で進められる中、取り組みや意識はどう変化しているのだろうか。

はじめに「新型コロナウイルスワクチン接種に関する、自社の取り組み状況」について尋ねた。すると、「何らかの施策に取り組んでいる」が80.7%となった。一方で、「任意接種のため」などの理由で、「取り組む予定はない」と回答した企業は19.3%だった。

また、「何らかの施策に取り組んでいる」と回答した企業に、「具体的な取り組み内容」を複数回答で尋ねると、「各自の居住地での接種を推奨」が50.8%で最多となり、「社員が外部の医療機関などに出向いて接種の実施」が32.4%、「ワクチン接種のための特別有給休暇などを付与」が32.3%と続いた。

企業規模別に見ると、大企業では「特別有給休暇などの付与」が38.1%、「取引先企業などとの合同接種」が12.1%、「社内施設での接種の実施」が7.4%となり、それぞれ中小企業よりも5ポイント以上高い結果だった。他方で、中小企業では「居住地での接種を推奨」が52.1%と過半数を占め、大企業を7.6ポイント上回った。
企業における新型コロナワクチン接種の取り組み状況

7割が「マイナスの業績影響がある」とするも、過去と比較するとやや改善傾向に

続いて、「新型コロナによる自社の業績への影響」について尋ねた。すると、「既にマイナスの影響がある」が66%、「今後マイナスの影響がある」が5.9%で、合わせて71.9%が「マイナスの影響がある」と回答。この結果は、2021年5月の調査と比べると4ポイント減っており、調査開始以来2番目に低い水準だった。一方で、「プラスの影響がある」が5.6%で、前月より1.5ポイント増加した。また、「影響はない」は18.2%で、2割に迫った。
新型コロナによる業績への影響
この結果を業種別に見ると、業績に「マイナスの影響がある」とした企業の割合は、空港無線などの電気通信サービス業を含む「電気通信」が100%と、最も高かった。次いで、「旅館・ホテル」が94.4%、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」が92.1%、「広告関連」が91.6%と、高水準で続いた。

一方、業績に「プラスの影響がある」とした企業は、トップが「飲食料品小売」で18.5%。次いで、「家具類小売」が16.7%、「教育サービス」が16.1%、「各種商品小売」が12.8%、「飲食店」が11.6%と続いた。
業種別に見るマイナス・プラスの影響
コロナ禍により「マイナスの影響」を受けている企業は依然として多いが、徐々に「プラスの影響を見込む企業」も増加しており、明るい兆しも表れてきたようだ。ワクチン接種がさらに拡大することで、経済活動も拡がることが見込まれている。今後も状況の変化を見ながら、柔軟に対応できる体制を構築していきたい。

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