6割以上が上司との心理的距離を「5メートル以内」と回答。物理的距離が離れると、心理的距離も遠くなる傾向か
リモートワークなどで働き方が変化する中、ビジネスパーソンは同僚や上司との「心理的距離」をどのように捉えているのだろうか。はじめに、「直属の上司との気持ちの上での距離」を尋ねた。すると、最多だったのは「姿は見えているが、少し離れている(5メートルくらい)」で34%になり、「すぐそばにいる(1メートルくらい)」の24%と続いた。さらに「一心同体と感じる(0メートル)」の4.5%とあわせると、合計62.5%が上司との距離を「5メートル以内」と感じていることが判明した。
また、同回答を「リモートワーク頻度別」で見ると、「すぐそばにいる(1メートルくらい)」との回答は、リモートワーク頻度が「平均週2日程度」の人は32.3%であったが、「ほぼ毎日リモートワーク」の人は16.8%に低下することがわかった。リモートワーク日数が多くなると、上司との心理的距離が遠くなる傾向にあることがうかがえる。
一方、「上司との心理的距離近くなった」と感じている人の意見では、「オンラインなど、コミュニケーション機会が増加した」、「理解や思いやりを感じるようになった」というものもある。コミュニケーションの頻度を増やすことや、上司からのアプローチによっては、リモートワーク下であっても心理的距離が近くなるケースがあるようだ。
「心理的距離」が近いほど、仕事に対するモチベーションも向上
続いて、「気持ちの上での距離」別に、仕事に対するモチベーションの高さを比較した。すると、社長・上司・同僚とも、相手との心理的距離を「近い」と感じる人ほど、仕事へのモチベーションが高いことが判明。心理的距離は親密さの度合いを表しており、社長、上司、同僚という、仕事上の重要人物との親密さが保てることが、心理的安全性等につながり、内発的モチベーションを支えていることが示唆された。リモートワーク増加で重要度が高まる「コミュニケーション」。特に20~30代と部長クラスで高比率に
また、「リモートワークの導入・増加により重要度が増したこと」を尋ねた。その結果、最も高かったのは「同僚や上司との雑談」で48.3%となり、半数近くが重要視していることが判明。また、「直属の上司との対話」(43.7%)、「部門などの枠を超えた、社内コミュニケーションの場」(43.3%)、「社長など経営トップから従業員に向けた、今後のビジョンや方針等を伝えるメッセージ」(42.7%)などがいずれも4割を超えており、全体的にコミュニケーションの重要度が増していることがわかった。年代別でみると、20代および一部では30代で各項目の数値が高く、役職別では、部長クラスの数値が高くなっている。若年層および役職層で、同僚・上司・社長とのコミュニケーションの重要度が増していることがわかる結果となった。
対面を希望するコミュニケーションは「同僚との対話」や「上司との対話」など
コミュニケーションの重要度が増していることを踏まえ、「対面で行いたいコミュニケーション」を尋ねた。その結果、最も多かったのは「同じ立場の同僚とのコミュニケーション」で63.4%に。次いで、「直属の上司とのコミュニケーション」が56.2%となった。年代別および役職別で結果を見ると、「同じ立場の同僚と、対面で直接話をする」は、20~30代および50代等が6割以上、60代および部長クラスでは7割を超える結果に。同様の傾向が、「直属の上司と対面で直接話をする」でも見られた。若年層・非役職者のみならず、年代や役職が高い層でも、同僚や上司との直接のコミュニケーションに対する要望が強いことがわかる。
心理的距離を縮めるのに必要な施策は、「仕事のやりがい」・「評価」・「人間関係」
最後に、「会社との心理的距離を縮める上で、役に立つ施策」を尋ねた。すると、「やりがいのある仕事ができる」が42.3%で最多に。次いで、「自分の仕事への評価に納得できる」(36.4%)、「職場の人間関係に満足できる」(33.7%)などとなった。一方、「職場の設備」、「立地」、「会社の名前などが世間に認められること」は、回答者が少ない結果に。ブランド意識のような「他者からの見方」よりも、やりがいや仕事への評価など「職務内容や直接関わる人との関係性」などが、会社との距離感に影響していることが示唆された。