経営者約7割が「副業に積極的な人材」の受け入れに前向きな姿勢
コロナ禍での収入減やテレワークの浸透により、副業・兼業を始める人が増えている。また、大企業でも続々と副業を解禁する動きが強まっている。副業人材を実際に受け入れることに対して、企業側はどう感じているのだろうか。まず、「副業を積極的に行う人を、自社の副業人材として受け入れたいか」と尋ねた。すると「非常に受け入れたい」は18.3%、「受け入れたい」は50%と、合計でおよそ7割が受け入れに前向きな姿勢を示した。
副業人材を受け入れる理由は「多方面のスキル」や「生産性への期待」など
続いて、「非常に受け入れたい」および「受け入れたい」とした回答者75名にその理由を聞くと、最も多かったのは「副業人材は多方面のスキルを持っていて優秀だと考える」で、50.7%と半数が回答。以降、「副業人材は生産性が高いと考える」(38.7%)、「副業人材は人脈が広く自社の事業機会拡大につながる」(37.3%)が上位だった。・異業種との人脈に期待できる(56歳)
・技能スキルがあれば短い時間でも効率的な仕事がこなせる(67歳)
・仕事の幅を拡げるきっかけになれば(74歳)
・ある特殊な技術知識を持つ人材は貴重でなかなか探せないが、副業人材にはそのような人材がいるのではと思う(62歳)
約6割が副業の受け入れで「生産性・業績アップ」を実感
次に、「副業人材の受け入れが、会社の生産性向上や業績アップにつながっていると感じるか」と尋ねた。すると「非常に感じる」が11.8%、「感じる」が51.8%となり、合計63.6%が良い影響を及ぼしていると実感していることがわかった。事業好転の理由は「事業の幅が広がった」など
先述の「良い影響がある」と感じる回答者70名に「その要因」について挙げてもらうと、44.3%が「専門性の高い分野を副業で補うことで事業の幅が広がった」と回答。次いで、「人材を適材適所に配置することができ、社員ひとりひとりの生産性が上がった」と「副業を受け入れ始めたことで、優秀人材が集まりやすくなった」が共に32.9%で上位回答となった。・業務内容など、今まで気がつかなかったことを教えられた(47歳)
・新規事業に繋がった部分もあり、新規営業や継続サポート等でそれぞれのスキルが上がった(54歳)
・適材適所で、人と能力が必要な部分に投資できる(50歳)
・既に副業で個人的な事業経験があり、人材や社会的経験も豊富で会社へのさまざまなプラスがある(55歳)
・社員にない知識を持つ人材の投入により、今までできなかったことも可能になる(62歳)
副業人材受け入れの課題は「自社の機密情報漏洩のリスク」が最多
最後に「副業人材を受け入れる上での課題」を尋ねた。その結果、「自社の機密情報漏洩のリスク」が40%と最も多く、以降、「他の会社での業務も含めて業務量を把握して仕事を割り当てるのが難しい」(34.5%)、「副業人材のための人事評価制度を確立する必要がある」(23.6%)で上位となった。・就業規則の変更(46歳)
・顧客や、ノウハウを盗まれる可能性(47歳)
・副業により本業がおろそかにならないように成果主義を確立すること(58歳)
・トラブルや失敗した時の対応と、責任の取り方(58歳)
・他の仕事の影響による急な休みを承知していなければならない(67歳)
副業人材の受け入れにより、さまざまな面で企業に好影響がもたらされる可能性があるようだ。一方で、社内のルール整備や意識醸成など、副業を受け入れる側の環境整備も必要となる。企業はそのことを踏まえつつ、事業成長のきっかけとなる専門性の高い副業人材の活用を検討してみても良いのかも知れない。