●2024年11月1日、ついに「フリーランス新法」が施行。実務上で気を付けるべきポイントを解説
約6割が「取引先とのトラブル」を経験。契約書を取り交わしていない人も
フリーランス人材を保護する「フリーランス新法」が、2024年11月1日から施行される。この新法は、フリーランスに対する取引条件の明示義務などを定めるもので、金銭報酬やハラスメントなどのトラブルを未然に防ぐことを目的としており、フリーランスに仕事を発注する企業側も対応を迫られる。総務省が2022年に実施した基幹統計調査では、フリーランス人口は257万人(副業含む)いるとされているが、実際に企業とフリーランス人材の取引におけるトラブルはどの程度あるのだろうか。本記事では、株式会社PE-BANKがITエンジニアを対象に実施した最新調査の結果を紹介する。
まず、同社が「取引先が原因でトラブルが起きた経験があるか」を尋ねると、「よくある」が11.7%、「たまにある」が47.2%となり、合計すると58.9%の人がトラブルの経験を持っていることが明らかとなった。
報酬の支払い遅延や不払いなど“金銭的なトラブル”が多い傾向
次に、同社は「取引先が原因でトラブルが起きた経験がある」と回答した人を対象に、「どのようなトラブルを経験したか」を尋ねた。すると、最多となったのが「報酬の支払い遅延や不払い」(49.1%)で半数近くとなった。また、上位には「不当な減額交渉」(40.4%)、「追加修正の無償対応」(31.6%)が続き、全体的に金銭的なトラブルが多い傾向がうかがえた。約7割が「フリーランス新法」を認知せず
次に、全体に対して「フリーランス新法について知っているか」と質問したところ、「あまり知らない」が32.8%、「全く知らない」が36.9%となり、フリーランス新法について認知していない人は合計69.7%と7割近くになった。新法の施行目前の調査ながら、依然としてフリーランスで働く人の周知が不十分であることが見て取れる結果となっていた。3人に1人が「新法が施行されても改善は期待できない」と感じている
さらに、同社は「フリーランス新法について知っている」と回答した人に、「フリーランス新法施行により、発注者とトラブルなくより円滑な取引ができるようになると思うか」と聞いた。その結果は、「あまりそう思わない」が28.4%、「全く思わない」が6.4%と、回答者のうち3人に1人(34.8%)は“新法が施行されても、取引は改善されないと思う”と感じていることがあきらかとなった。「新法が施行されても処遇が改善されない」と感じている理由は?
最後に「何故改善されないと思うのか」を尋ねている。その結果、理由のトップ2にあげられたのは、「新法で定められても立場が弱く、不当性を感じても取引先に打診できるか不安」(57.9%)と「企業側が新法について理解浸透するのかが不安」(47.4%)だった。※最新版※【2024(令和6)年度版:法改正】フリーランス新法やマイナ保険証の詳細追加<社労士監修>