2025年には「家族の介護」が必要な従業員が倍増する見込み
ベネッセグループがグループ従業員の状況を分析した結果、平均年齢の上昇により、2025年には「家族の介護」が必要になる従業員が倍増する見込みであることが判明した。これに加え、新型コロナウイルスの影響により「介護が必要な家族に長期間会えない」という状況が発生するなど、従業員の家族に対する健康・介護の危機感は増大している。さらに、「出社」と「在宅」が混在する新しいワークスタイルがスタンダードとなった今、部下が介護の悩みを抱えていても上司が把握しにくい状況にあり、円滑な両立支援には管理職側の「介護リテラシー」の獲得が急務となっている。このような従業員を取り巻く環境変化を受け、同グループは仕事と介護を両立できる職場の支援体制や風土を構築するプログラムを実施した。プログラムでは、グループ企業である株式会社ベネッセシニアサポートが提供している、法人向けの「仕事と介護の両立支援サービス」を活用。同年10月~11月に「ハンドブック配布」と「オンライン研修」を実施し、グループ内の「介護リテラシー」向上に取り組んだという。
ハンドブックは、「仕事と介護の両立と言っても、どのように介護の情報を取集したらいいのか分からない」、「誰に相談したらよいか分からず、相談しにくい」などの悩みに答え、「最初の一歩」を踏み出すためのきっかけとなるよう作成。介護により仕事に何らかの制約が出た場合でもグループ内で働き続けられるよう、介護に役立つ情報や、仕事と介護の両立に対する会社のスタンスなどをまとめ、国内外の従業員約5,800名へ配布したという。
また、オンライン研修では「介護と仕事の両立セミナー」を開催。「仕事と介護の両立」をテーマにした従業員向けオンライン研修を、「一般従業員向け」と「管理職向け」の2パターンで行った。希望者を募ったところ、従業員向け研修では115名、管理職向け研修では70名の参加があったという。研修は、ベネッセシニアサポートの講師による介護離職防止講座と、リアルタイムのチャット機能によるQ&A対応を組み合わせて実施した。なお、研修後のアンケートでは、「一般従業員向け」、「管理職向け」とも参加者の9割以上からポジティブな回答が得られたとのことだ。
社会全体の高齢化にともない、「仕事と介護の両立」は今後より大きな問題となっていくだろう。介護による離職を防ぐため、企業は従業員本人にとどまらず、その家庭にまで視野を広げていくことが求められそうだ。
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