株式会社エムステージは2024年8月26日、「産業保健活動」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査期間は2024年4月19日~22日で、従業員数100~3,000名の企業で産業保健活動を担う衛生管理者・人事労務担当者400人より回答を得ている。調査結果から、企業で産業保健活動にあたる担当者の業務状況が明らかになった。
約8割の担当者が「産業保健活動に理想通りに取り組めていない」。“兼任”が4割以上、従業員の健康管理はリソース不足が顕著か

職場の健康への取り組み、4割以上の担当者が他の業務と“兼任”している

近年では、“従業員の健康維持・向上”が企業の生産性向上につながるとの考えが浸透し、産業保健活動の取り組みを見直す企業が増えてきているという。一方、労災補償請求件数は増加を続けており、厚生労働省が公表する「過労死等の労災補償状況」によると、2023年度の過労死等に関する請求件数は、前年度から1,112件増加して4,598件となっている。こうした中、企業で産業保健活動にあたる担当者の業務状況はどのようになっているのだろうか。

はじめにエムステージは、「職場の健康への取り組みは、選任での対応・兼任での対応のどちらか?」と尋ねた。すると、「専任」で対応している担当者は52%、他の業務との「兼任」で担当している担当者は45.5%となり、4割以上の担当者が他の業務との「兼任」で対応していることがわかった。
職場の健康への取り組みは、選任での対応・兼任での対応のどちらか?

「職場の健康に取り組む十分な時間がない」とする担当者は約4分の1に

次に同社は、「職場の健康について考えられる・取り組める時間はどの程度ありますか?」と尋ねている。その結果、「全くない」と回答した担当者は3.8%、「ほとんどない」と回答した担当者は23%となった。約4分の1の担当者が、「職場の健康に取り組む十分な時間がない」と感じているようだ。
職場の健康について考えられる・取り組める時間はどの程度ありますか?
また、「職場の健康について考えられる・取り組める時間」について、従業員規模別に比較すると、従業員数が100~299人の企業担当者の34%が「時間がない」と回答していた。そのほか、300~499人の企業では24%、500~999人では26%、1,000~3,000人では23%の担当者が「時間がない」と回答した。
職場の健康について考えられる・取り組める時間

職場の健康への取り組みが「理想通り」とする人は約2割にとどまる

最後に同社は、「自分の理想とする職場の健康への取り組みにおける、自身の現状」を尋ねた。その結果、「職場の健康」への取り組みが「理想通り」と回答した担当者は3.8%、「どちらかといえば理想通り」と回答した担当者は20%となり、理想通りの取り組みができていると感じている担当者は約2割にとどまった。
自分の理想とする職場の健康への取り組みにおける、自身の現状
本調査から、4割以上の担当者は、職場の健康に関する取組みを、他の業務との兼任で行っていることがわかった。また、約4分の1が「職場の健康に取り組む十分な時間がない」と回答し、職場の健康への取り組みが「理想通り」とする人は約2割にとどまった。“従業員の健康維持・向上”に向け、持続的な健康経営を続けるためには、実際に取り組みにあたる担当者の負担も十分に考慮する必要があるだろう。

この記事にリアクションをお願いします!