これまで、助成額の算定にあたっては「従業員一人当たりの平均賃金額」を用いていた。今回の簡素化により、おおむね従業員数20名以下の小規模事業主については、「実際に支払った休業手当額」×「助成率」での算定が可能となった。
また、支給申請を円滑に行うため、休業に係る申請様式を簡略化するとともに、申請マニュアルも作成したという。
休業等計画届の提出が不要に
本来、雇用調整助成金の支給には「休業届計画書」の提出が必要だったが、支給申請のみで手続きが可能となった。なお、休業等計画届と同時に提出していた一部の書類は支給審査に必要なため、申請時に提出が求められる。
助成額算定方法を簡略化
小規模事業主以外の事業主についても、助成額算定のために用いる「平均賃金額」や「所定労働日数」の算定方法が簡略化された。
平均賃金は、「労働保険確定保険料申告書」以外に「源泉所得税の納付書」からも算定が可能に。また、所定労働日数は計算方式が簡略化されるとともに、「休業前の1ヵ月」をもとにした年間所定労働日数の算定ができるようになった。なお、雇用調整助成金の支給要綱に詳細が記載されている。
申請期限を延長
通常、雇用調整助成金の申請期限は「支給対象期間末日の翌日から2ヵ月以内」としている。しかし新型コロナウイルス感染症の影響による休業であれば、支給対象期間の初日が2020年1月24日~5月30日の場合、申請期限を2020年8月31日までに変更する。
また、支給申請時には給与明細の写しの提出が求められるが、賃金締切日以降、休業手当に係る書類など必要書類が確定していれば、申請が可能となる。
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以上は、緊急雇用助成金についても同様の扱いとなる。なお、厚労省では上記のほか、「5月20日よりオンラインでも申請できるようにする」としていたが、システム不具合のため現在稼働を見合わせている。
新型コロナウイルス感染症拡大により、事業規模の縮小や休業を余儀なくされた企業も多いだろう。雇用調整助成金の手続きが簡略化されたことで、事業と従業員の雇用が継続されることを期待したい。