平成29年就業構造基本調査によると、介護のために離職した人は平成28年10月~29年9月の間で9万9,000人。平成24年の10万1,000人から見ると、その数は横ばいとなっているものの、介護により就業継続を諦める人は未だ多くいると考えられる。また、介護をしている人の有業率を年代別に見ると、企業の即戦力、管理職として活躍しているであろう40~50代で高い値を示している。
厚生労働省が発表した、2019年8月の東京都有効求人倍率も「2.10」と引き続き高く、41ヶ月連続の2倍台となった。少子高齢化を背景に全国的にも労働需給が逼迫した状態だ。このことから、介護離職者が増加の一途を辿れば、企業においても大きな損失となり、労働力不足をより深刻化させることが推測できるだろう。
高齢化が進む日本において避けて通れない介護問題。突然始まり長期化する傾向にあることから、介護をしながらでも働ける環境の整備や継続して就業できる働き方を実現することは急務と言える。これまで介護休業を取得する環境整備が進んでいなかった中小企業においても、従業員の介護と仕事の両立を実現するための足がかりとなることを期待したい。