1)共通目標を掲げる
2)メンバーの個人ビジョンを明確にする
3)認め合う風土をつくる
4)エンパワーメントで役割を与える
5)規律を徹底する
そうは言っても、「うちのメンバーは依存的。そんなことやっても変わらない」「それは、しっかりしている会社の話だろ。うちの会社でそれは無理」等という声をよくお聞きいたします。
これは、ともすると「ルールで縛る」と捉えがちであり、むしろ自立型を阻害するのではないかと考える人もいるようですが、それは違います。規律が乱れている職場では、自立型のメンバーは育たないのです。
このような取り組みを行なうにあたり、我々マネジャーは信じなくてはなりません。
何を信じるか?それは、「人は創造性を発揮することができる」「自分の能力を生かしたいと願っている」ということを。
子供を見ていると、みんな創造的です。砂場で山やトンネルを作ることを活き活きと楽しんでいる。積み木を上手に使って、面白い形の家をつくる。見たこともない怪獣の絵を描く。 自分は何でもできると思っており、おかしな固定観念がない。
しかし、人生を重ねるごとに「自分は大したことはない」「この会社で、これをやることは無理」等と枠をはめてしまっています。
次々に枠をはめられると、人間は創造性を失います。しまいには、言われたことを言われたとおりに無難に行なう状況に陥る人もいます。
「そうだよな。人って色々な面で枠をはめられているよな」と客観的にならないでください。
なぜなら、メンバーに枠をはめる一番近い存在は我々上司だからです。
普段の会話で「本当にそれって出来るの?」「それって、これまでやったことある?ないなら難しいな」と、枠をはめる言動をしてはいませんか?
リスクマネジメントも必要ですから、それが全て悪いとは言いません。
しかし、せっかくメンバーがチャレンジしようとしている、新しいことを創造しようとしているときに「それは難しい」と一蹴してしまうと、新しい価値を創造する気がうせてしまいます。
顧客のニーズは多様化しています。そして、企業間の競争もますます激化しています。常に新しい価値を創造し続けることが企業の生き残りの道です。そのためには、メンバー一人一人が常に新しいやり方を自ら生み出す「創造性」を発揮してくれないと、企業は持たないのです。
「それは難しい」というセリフを「それ、面白そうだね」「もう少し話し聞かせてくれ」といったセリフに変えませんか?
我々ジェックのプログラム内で、「美点凝視会議」というものを行なうことがあります。
「美点凝視」とは、良いところを見つめると言うこと。その人の強みや良いところを周りのメンバーが伝えてあげるという内容です。強みや良い点を周りから言われると非常に照れくさいものです。
しかし、やはり嬉しい。そして、自分では気がついてない強みや良い点を周りが次々に言ってくれる。
その結果、「自分にも良いところがあるじゃないか。もっとがんばれそう」と勇気が湧いてきます。
この美点凝視会議は、その人を良い気分にさせることが目的ではありません。自分の強みが分かり、自信が持てれば前向きな行動が促進されます。
つまり、自立的になりやすくなります。
また、「自分の強みを、仕事で活かしたい」と感じるようになれば、一人一人がその人なりの価値を職場内で発揮してくれるようになります。
つまり、一人一人が個性を発揮して仕事をする創造的な職場になりやすくなるわけです。
また、お互いがお互いの強みを認識していれば、メンバー同士が尊敬しあいます。それがチームワークの良さを促進します。
また、「そうだ、○○さんに相談してみよう!」という状況が起きやすくなり、メンバー同士の連携が進み、組織としてより強くなれます。
この美点凝視会議を実際に職場で取り入れているところもあります。仰々しくやるのではなく、朝礼などで「では今日は○○さんが最近がんばっていると思う点を皆さんで言ってみよう」等とお互いに言い合う。
また、最近の仕事でうまくいった点を発表してもらい、その話をたたき台にしてその人ががんばっている点、強みなどを周りのメンバーが言ってあげる。
いずれにしても、創造性を発揮する職場は、一人一人が自分の強みを認識していることは間違いありません。
一方で、自分の強み、良い点は自分では認識しにくいものです。「自分の強み、良い点を20個挙げてください」と言われてすぐに紙に書き出せますか?
人によって差はありますが、私の経験からいいますと、5個から先はなかなか出てきません・・・。
しかし、周りから言ってもらうと、すぐに20個以上出るはずです。
なお、「そんなことやれるわけない」と言う人がたまにいます。でも、この程度のことをやれない職場って、楽しくない職場ですよね?
前回、こう書きました。
「枠をはめ、創造性を失わせている人。それは我々上司である」と。(つづく)
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