マネジャー研修で「自分自身のマネジメント上の課題」を洗い出していただくことがあります。その際に良く目にするのが、「メンバーとのコミュニケーションが不足している」というものです。
 自分自身が忙しすぎてメンバーとじっくり話をしていなかったり、メンバーが多すぎて話す機会が少ないという人もいます。
   そこで、「では、どのようにコミュニケーションの機会を増やすのですか?」と問いかけると、「ミーティングの機会を増やす」という解答をする人が大半です。ミーティングはコミュニケーションの重要な機会ですし、多くのアイデアが産まれますので確かに有効です。しかし、ミーティングですと一人一人とじっくり話をすることはできません。
 やはり、メンバー一人一人と腹を割ってコミュニケーションを取りたいのなら、1対1の個人面談を行うべきでしょう。

 研修の際に、「メンバーと定期的に1対1で個人面談を行っている人はいますか?」と問いかけると、多くの人が手を挙げます。そこで、「定期的というのは?」とお聞きすると「人事面談があるので、年に2回程度です」という答え。そして、「いつも同じ事務所で仕事しているので、面と向かって面談する必要はありませんよ」という人も多くいます。

 しかし、事務所での会話は日々の業務に関する「指示」「報告」「情報交換」がほとんどではないでしょうか?メンバーが腹に抱えている不安や不満、そしてチームを良くするために頭の中に持っているひそかな提案・・・。そのようなことは、1対1の面談でないと出てこないのです。
 
 先日、ある企業様の入社3年目研修を行った際に、「ここ最近うまくいっていること・うまくいっていないこと」をざっくばらんに小グループで出し合ってもらいました。出し合っただけなので、問題が大きく解消するわけではありません。しかし、参加者からは「他の人に話を聴いてもらえて、本当にすっきりした」「他の人に相談に乗ってもらえた」と清々しい顔をしていましたし、研修後のアンケートにも多くの人がそう書いていました。
 
 あなたのメンバーも、話を聴いてもらいたいのではないでしょうか?
 
 では、個人面談の頻度はどの程度が良いのでしょうか?それは、特に決まりはありません。敢えて言えば、新人クラスは短いスパン(できれば、2週間に1回程度)で行うべきです。なぜなら、新人は色々な悩みや不安があっても、自分から相談しにくい立場だからです。
 中堅~ベテランクラスでも、できれば月に1回は行いたいところです。

 面談の時間は、長ければ良いというものではありません。「現在の仕事の進捗」「うまくいっている点」「うまくいっていない点」等、時間がなければ短くても良いのです。しかし、面と向かって1対1で話していると、「あれ、ちょっと元気ないな・・・。何かあるぞ」「お、最近波に乗っているな、活き活きしてきた」等、メンバーの機微が手に取るように分かります。そうすれば、メンバー一人一人へより適切な働きかけができるようになるはずです。 

 強いチームをつくるためには、コミュニケーションに手を抜けません。
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