“離陸”を前後する2年目の社員に注意

 「うちは入社2 年目の社員に,フォローアップ研修を含め,いろいろテコ入れするようにしています」
 ある会社の人事部長がこう言っていた。この会社では,若手の離職率がいちばん高いのは2 年目の社員であることに気がつき,以来,それに合わせた対策を講じているのだそうだ。
  傾聴して,なるほどとうなずいた。ずいぶん前から「七五三」問題が指摘され,若者の早期離職は一種の社会問題として取り上げられてきたが, 2年目に配慮すべしというのは筆者自身の考えとも一致する。
 入社したその年に会社を辞める人材は,いわゆるミスマッチ転職にせよ,人間関係のトラブルにせよ,本人の側に問題があるケースが少なくない。会社にとっても「辞めてもらって結構」といっては語弊があるかもしれないが,それほど大きな痛手ではない。

 しかし2 年目に入り,職場にも仕事にもなじんできた頃に辞められるのは痛手である。1年目は新人だからと「お客さま扱い」にして,上司も先輩もていねいに接し指導する。が, 2年目となるとそうもいかない。そろそろ自立してもらわなければならず,扱いも「お客さま」から「内輪の人」となる。それは当然なのだが, 1年目と2年目との落差の大きさが,しばしば若者にマイナスの影響を及ぼす。1年目には様々な教育的配慮が施されていたのに, 2年目になると何もなくなる。若者の側も, 1年目はフレッシュな気持ちと覚悟とで頑張れたのに, 2年目にはその反動もあって,ガス欠気味となる者が少なくない。飛行機にたとえれば,滑走路で加速をつけ( 1年目),ようやく離陸しようとする大切な時期( 2年目)である。無事に上昇できるよう,職場も人事部門も,しっかりと支援の手立てを講じてやる必要がある。冒頭の人事部長の言葉は,その意味で筆者の思いと共通するものであった。

 「七五三」とは,周知の通り,入社3年目以内に離職する若者の割合を中卒で7割,高卒で5 割,大卒で3割と表現したものだが,入社後の3年間のうちで,会社が最も重視しなければならないのは2年目である。1年間を振り返って「できたこと・できなかったこと」を確認し, 2年目の抱負を立てさせる。集合研修であれ,職場単位の語り合いであれ,そうした機会をきちんと持ち,フォローしてやる。自分は戦力として認められ,みんなに支援されているのだという自覚を強く持たせることが肝要だ。

 このことに限らず,「2」のつく時期は何ごとも大切に,慎重に,管理すべしというのが,筆者自身の体験から得た教訓でもある。以下に具体的な事例を述べてみよう。

何事も「2」が危ない─ 不思議な法則と実態

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