新人が会社に入って約8 ヵ月。あなたの会社では順調に育っているだろうか。「今どきの若者はなっとらん」とお嘆きの方もいるだろうか,この嘆きは紀元前の昔からあったもので,できるだけ口にしないよう鷹揚に構えたい。今月は「今どきの若者」の特徴について考えてみる。
若者の5 つのタイプと マネジメントの方法
いずれは独立して一旗揚げることを夢みる事業家型もいれば,真面目にコツコツの努力型もいる。ここではおおまかに5 つのタイプに分けて,それぞれ分かりやすく動物の名を冠してみる。1.ライオン型
独立自尊,あるいは唯我独尊の事業家タイプ。馬力はあるがアクも強い。アンケートなどに「社長を目指す」などと記入してくるタイプで,現在は希少種だ。
2.ウサギ型
才気があって融通のきくタイプ。「賢くふるまう者」が多く,良くも悪くも優等生。育て方次第で大きな差がつく。
3.カメ型
「ウサギとカメ」の比喩でいくと,じっくりコツコツの努力型。しかし昨今では「首をすくめて様子見」といった悪い印象が強い。
4.イノシシ型
文字通り猪突猛進,よくいわれる体育会系。最近ではウサギ型が増えた分,このタイプが減少した感がある。
5.コウモリ型
1 ~ 4 までの分類の仕方とは異なる。夜型の生活になじんで,なかなか社会人の生活パターンに適応できないタイプ。ある分野に異能を発揮する者も中にはいる。
このなかで,いわゆる即戦力を輩出するのは「1.ライオン型」と「2.ウサギ型」である。上司の教えを素直に聞くライオン,学ぶ意欲の高いウサギであれば,ビジネスパーソンの理想的なタイプともいえるわけだが,現実はなかなかそううまくいかない。人の言うことを素直に聞かないのがライオンの欠点であり,持ち味の一部でもある。同様に,ウサギには要領よく走ったあとで手を抜く,昼寝をするという怠け者がけっこう含まれる。
この2 つのタイプの新人には,標準以上の仕事量を与え,あるいは高い質を求めて育成すればよい。
注意を要するのは「3.カメ型」と「5.コウモリ型」である。かつてはコツコツ努力型のカメ・タイプが日本の会社では最も好まれた。人柄としても愛され,何よりも無難な存在であった。長年文句を言わず真面目に働き,50歳になったら部長としてハンコを押している。そんな時代にはぴったりのタイプだったが,現代ではすっかり風向きが変わった。のんびりコツコツやっている間に会社がつぶれてしまうご時世だからだ。
このタイプに属する現代の若者たちの側も,そのへんの事情は自覚している。「だから頑張らなければ」とも思っている。しかし,どう頑張ればいいのかがよく分からずに,心のなかでオロオロして
いる者が少なくない。もちろんカメ型にもいくつか種類があって,例えば自分のテーマをもった技術者や研究者のように,地道な努力がやがて成果に結びつくタイプもある。問題なのは,よくいわれる「目標意識のない若者たち」としてのカメ型だ。同じことは「4.イノシシ型」にも共通する。上司から目標を与えられれば「分かりました!」と猛進するが,自分自身でゴールを設定するのは苦手というタイプが多い。
新人であれば,自ら目標やゴールを設定するのはまだ先の話だが,カメ型とイノシシ型に対しては特に対話を重視し,フレッシュなうちから「自分で考える姿勢」を涵養するように仕向けたい。