ジェックは、創業以来、「行動理論の改革と集団性格の革新で企業の発展を図る」という理念を柱に、事業を展開しております。業種・業態やその時代の経済状況に応じて、お客様の多様なニーズに応えられるように、新たな理論や、現場で活用しやすいような手法を開発し、また、お客様と共にシーズを創り、お客様の成果向上に尽力してまいりました。
~創業五十年を迎えるにあたって~ お客様と共に五十年

これからの50年を見据えたお役立ち

 弊社は、2014年に創立50周年を迎えることができることになりました。これもひとえに御受講企業様のご支援の賜物と深く感謝申し上げます。 
 ジェックは、創業以来、「行動理論の改革と集団性格の革新で企業の発展を図る」という理念を柱に、事業を展開しております。業種・業態やその時代の経済状況に応じて、お客様の多様なニーズに応えられるように、新たな理論や、現場で活用しやすいような手法を開発し、また、お客様と共にシーズを創り、お客様の成果向上に尽力してまいりました。
 「千載不易・一時流行」という言葉があるように、経済環境が変わっても普遍的に大切にする考え方・やり方は、進化・深化させ、時代に応じて、変えた方が良い部分は、改善・改良を重ねております。
 例えば、ジェックでは、「経営は、成長ではなく、不倒不滅を目指せ」と言う考え方があります。「不倒不滅」の部分が、ジェックらしさであり、最も大切にこだわっている点でもあり、千載不易の部分と言えます。
 それに対して、事業の差異化戦略は、需要がある時代(全体的に需要が供給を上回る社会)と、需要が無い時代(成熟経済社会)では、アプローチの違いが当然発生してきます。この部分は、変化していかなければならない部分といえます。
 今後も環境変化に応じて、変わらず大切にする部分と、変化させる部分を明確にして、御受講企業様にご提供できるように取り組んでいく所存です。

 ジェックは、これからの50年を見据え、『お役立ちに満ちた経済社会を創るために、お役立ち道(※1)を世界に広める』と言うお役立ちビジョンを掲げました。
 これは、創造性豊かな個人と組織を創り、それぞれが「お役立ち使命」を自覚し、「仕事を謳歌している状態」を作る経営を、お客様企業が実現することに役立つ価値(サービス・商品)を創り続け、提供し続けていくことを意味しています。

経営環境変化の認識

 日本経済のバブル崩壊以前に、需要を創造する経営のヒントが提唱されていました。それは、P・F・ドラッカーが、情報型組織を提唱したことです。情報型組織とは、ピラミッド型の組織ではなく、オーケストラ型の組織で情報を活用していく組織を意味します。市場のニーズ(デザイアー・ニーズ・ウオンツ)情報を活用した情報型組織のことをジェックでは情報活用型組織と呼んでいます。
 日本経済全体が、失われた20年と呼ばれる時代の中でも情報を活用した経営でコンビニエンスストアを立ち上げ、新たな需要を創り続けて業績を上げ続けた企業や、同じくファストファッションという新たな価値を、市場ニーズ情報を活用して創りだし、変化しながらグローバルなビジネスにしている企業もあります。
 このように成熟経済社会だからこそ、市場のニーズ情報に合わせて経営の方向性を定め、成果を上げているのです。
 今や、世界は情報機器の発達とともにグローバル化を進め、日本や欧米のような成熟経済社会も発展途上国や開発途上国も同時に、最先端の提供価値が情報端末を通じて知ることができ、場合によっては購買することができるようなビジネス環境の時代になってきています。
 片や、国単位の財政が行き詰まり、貨幣経済そのものが不安定感を増していることも否めないでしょう。そして、われわれはリーマンショックを経験し、特に強い衝撃の東日本大震災を経験しています。これらの経験を通じてジェックは、経営のあり方やスタンスそのものを見直し、再確認する必要があると考えました。
 私自身は、「われわれの企業活動は、本来、人を守り、豊かにし、自然と共生するためにあるのではないか。そのことに貢献するのが企業活動の本質ではないのか。それぞれの企業の強味で、社会や市場をより良くすることに貢献するために事業があるのではないのか」と自問し続けざるを得ませんでした。
 企業組織は「社会の富の創出機関である」「社会から存在を認められて初めて存在することができる」とは、ドラッカーの言葉です。彼の言葉に真摯に向き合い、経営のあり方を自問自答する必要があったのです。
 そして、このような激しい経済環境の変化の中で生き残るには、それぞれの企業がオンリーワンでナンバーワンの提供価値を、市場情報を活用しながら創造し、提供し続けていく組織になることだと考えました。
 更に本業を通じて、社会に貢献できるような価値を創造し提供することが、企業活動の本来の姿であるし、その価値の創造と浸透に貢献することがジェックの使命でもあるとも考えたのです。

不倒不滅の企業づくりに向けた経営トップの役割

 それぞれの企業様が本業を通じて、お客様の先のお客様や社会・市場に役立っていけば、われわれの経済社会は、お互いに役立ちに満ちてくるはずであり、それを経営トップや経済人の多くは、心の底で望んでいるはずです。
 だからこそ、それぞれの企業様が、オンリーワンでナンバーワンの価値で、社会や市場をより良くすることに役立つこと(ジェックでは、お役立ち道に立脚した需要創造型実践理念経営と呼んでいます)を、極めて行くことこそが、不倒不滅の企業づくりを実現する経営のあり方であり、スタンスであると考えるに至ったのです。
 ジェックのお役立ちの方向は、お客様企業が不倒不滅の企業づくりになるお役立ちを極めていくことであると決意を新たにしています。
 経営トップの最大の役割は、「経営の方向を定めること」と言われています。
 経営トップのスタンスや打ち出す方向性は、すでに各社の「理念・ビジョン」として標榜されていることでしょう。その「理念・ビジョン」が実現することの社会的意義を具体化すれば、社会や市場をより良くし、社会の富の創出に役立つために事業をしていることが、再確認できると思います。そして、その実現に取り組むことこそが、経営トップとしてのスタンスであり、使命であると考えています。
 次に、具体的にどういう方向を打ち出すことが不倒不滅の企業づくりにつながるのかお伝えします。

個人と組織の創造性が発揮できる環境・条件とは

 社会や市場をより良くすることに自社の強味を活かして役立っていくには、現状の提供価値の工夫だけでなく、新たな価値の創造にも取り組まなければなりません。それも、ごく一部のトップや開発部門だけが取り組むのではなく、顧客接点の現場で取り組むことが必要になります。それは、市場のニーズを現場が肌感覚で知っているからです。
 つまり、現場でお役立ちの知恵が産まれ、実践され、社員が活躍できるような環境・条件を整える必要があるのです。
 そして「個人と組織の創造性が発揮できる環境・条件」に対して、経営トップが打ち出す方向性の要点は次の5点となります。

①「必然の先見」
 未来構想と環境変化を先読みし、必然を洞察すること。
 自社は、社会や市場をより良くするために何をして、どのようなお役立ちの状態を作りたいのかを方向づけようということです。

②「事業の決定」
 事業目的を明確にし、強みの貢献に的を絞ること。
 特に「理念・ビジョン」を統合し、自社の強味を設定し「社会や市場をより良くするために、このことについてはどこにも負けない」と言えるほどに磨いていくのかを方向づけることです。

③「戦略・体制」
 需要創造型戦略と「需要創造の無限サイクル」体制を構築すること。 
 市場のニーズを串刺しにした新たな価値を創造し、「戦わずして勝つ」状態を作る需要創造型戦略(情報を活用した事業の差異化戦略)を自社なりのものとして方向性を示すことです。
 更に、需要創造型戦略を機能させ、「理念・ビジョン」を実践することで、社会や市場をより良くすることが可能になる組織体制である「需要創造の無限サイクル」の方向性を示すことです。

④「価値創出」
 お客様の成果向上の価値を創造すること。
 社会や市場をより良くし、社会の富の創出を実現するのに役立つ、どのような価値を提供・創造しようとしているのかの方向性を打ち出すことです。

⑤「成長・成果を管理する」
 個人と組織の創造性を強化し、より良い組織文化を創ること。
 この項目については、大きく二つの方向性が必要になります。一つは、「個」の創造性発揮の方向付け。二つ目は、組織としての創造性発揮の方向付けです。この二つの方向性を具体化するのはマネジメントです。
 特に、顧客接点で「誰のどのようなニーズに対して、何を提供して充足するのか」と言う問いに応えられるマネジメントが必要となります。そして、個人と組織の創造性を発揮するマネジメントを実践していく方向性を打ち出すことです。

「個」の創造性発揮を促進するための行動理論の改革

 さて、ジェックではご受講企業様の「創造的な人と組織づくり」のために、ジェックが提供する価値を進化・深化させることに取り組んでいます。ここにそのノウハウの一部をご紹介し、さらに具体的にどうすれば良いかをここで整理しておきたいと思います。

 企業組織における創造性は、市場や社会に対して、「何がどのように役立つのか」という知恵であり、それを実現するためにどうするかの知恵であると言えます。
 そのためには、社会や市場のニーズをどのように観る(事実認識)かが、スタートラインとなります。更に、そのニーズを充足する価値は何かを考えるには、自分の能力や、組織能力、他者の能力をどのように観る(事実認識)かによって変わってきます。
 その事実認識に基づいて、「こうすれば、こうなるだろう、だからこうしよう」とその人の行動選択と思考プロセスを方向づけている考え方を、ジェックでは行動理論と言っています。それは、様々な状況や事象に対するその人なりの信念です。
 そして、その信念は今までのその人なりの成功体験や失敗体験、自分なりに持っている教養、科学的知識などが背景となって、信念化されるようになっているものです。
 この信念によって、われわれは、自分自身を考え方の枠組みにはめたり、限定したりしてしまうのです。
 「仕事は謳歌できるものであって、自分の潜在的な無限の能力を発揮する場とチャンスがあるもの」という信念と、「仕事は辛いもので、生活の金を稼ぐだけのもの」という信念からでは、生まれる知恵がおのずと違ってきます。
 しかし、経済環境が変わり新たな価値創造が求められる時代であることは理解したとしても、その人の信念が変わっていなければ、結局、過去のやり方の手練手管を変えて実践し、より狡猾さを磨くことになるのです。それは、成果につながる確率が低く、結局、信用を失う結果になることが多いのです。
 つまり、残念ながら、われわれは自分が作った信念で、自分を縛り、自分の信念から世の中や自分の人生を考え、いつの間にか、限定した考え方の枠組みの中で発想し、行動することになってしまっているのです。
 お役立ちの創造性を発揮できるようにするには、一人ひとりの持っている自分や自分の能力に対する観(事実認識)、を客観視(メタ認知)し、ニュートラルにその枠組みや信念を外し、相手の立場、お客様の立場、未来の立場に立って、その信念を再構築する力が必要になるのです。
 そのためには、一人ひとりの信念の中で、「お役立ちの創造性に対する正しい考え方の芽を見つけ、凝視し、その信念を育て、小さな成果を即誉めて、自信づけを図る」というプロセスが必要になるのです。
 それが、自分自身の「気づき」として、新たな信念を再構築し、修得していくことになるのです。
 人は、他人から指摘を受けて変わることもありますが、心の底から納得してなければ、それは、一時的、表面的なものにしかなりません。
 自ら「本当にそうだ」と気付いたときに、人は自らを持続的に変えようとし始めるものなのです。

自らを動機づけ信念を変えることができる人財を育てるマネジメント

 マネジメントは、お役立ちの創造性発揮に向けてその芽を見つけ、育て、自信づけを図り、成果に結び付けて、自分で自分の信念を変えることができる人財を育成するマネジメントに変えていかなければなりません。このマネジメントを実践する中核の考え方は、「Y理論の目で見る」と言うことなのです。
 Y理論とは、行動科学者のマグレガーが提唱した人間観(事実認識)のことです(※2)。
 つまり、「生来は、働く(はたが楽になる)ことが好きである」という人間観(事実認識)で、メンバー、自分、組織を観ることを前提としたマネジメントをすることが大事なのです。
 そして人は、「お役に立つことが好き」「他人から感謝されることが好き」などのお役立ちの意識や、その喜びに焦点を当てることです。
 そもそも人は、役立つことが好きと言う欲求を持っているものです。
 だから、この喜びに焦点を当て、正しい信念を醸成していけば、人間は、自ら行動理論を変えることに取り組めるようになるのです。

 現在、ジェックが提供するコース、コンサルの手法は、自らが自らの信念をメタ認知し、「気づき」を促進し「お役立ちの創造性を発揮する方向で、自分の信念を自分で変えていける人財を育成する構造」にしています。

「組織」の創造性発揮の鍵は集団性格の革新にある

 組織に属すると、人はその組織の文化に強く影響を受けるということは、数多くある組織文化学者が指摘していることです。ところが、この組織文化なるものはなかなか掴みどころがなく、多くの経営者を悩ませている項目とも言えます。
 ジェックは、社会や市場をより良くするための新たな価値の創造や、理念の実践を組織的に行い続けるのが当たり前と考える組織文化があれば、経営トップの「理念・ビジョン」を実現できると考えています。
 そして、そのために必要になる価値観と行動様式を3つの価値観とそれに基づく行動様式(挑戦・協調・お役立ち)に絞ることにしました。
 この3つの価値観とそれに基づく行動様式のバランスによって、産まれる集団の特徴を「集団性格」と呼んでいます。
 そして、挑戦・協調・お役立ちのそれぞれの軸の「強い」状態を、お役立ち道の文化と呼んでいます。
 お役立ち道の文化とは、「社会や市場をより良くするお役立ちに、協働・共創して、自らの可能性にチャレンジし続ける仕事ぶり」です。
 各企業様の「理念・ビジョン」の社会的意義を考えた場合、多くは社会や市場をより良くすることに自社の強味を活かして貢献するという意味が含まれているとジェックは認識しています。
 そして、それをもっとも強く実現しようという使命感を持っているのが経営トップであり、その経営トップの意志の実現を促進する組織文化がお役立ち道の文化であるのです。

集団性格の実態と 有効な打ち手を知る

 創造的な組織文化を創るためには、その実態を知ることから始まります。
 実態を知るとは、自社や自部門が三つの価値観とそれに基づく行動様式(挑戦・協調・お役立ち)のどのようなタイプの現状になっているのかを知ると言うことです。
 その上で、どのような手を打てば、お役立ち道の文化に近づいて行くのかを知ることが大事なのです。
 ジェックのコース、コンサルの手法は、集団性格が高まり、お役立ち道の文化づくりに向かう構造により直結するようにしていこうと思っています。そして、自分達でお役立ち道の文化づくりに取り組めるようにして行こうと考えています。
 ジェックは今後とも、お客様の不倒不滅の企業づくりと繁栄に真摯に取組み、「社会や市場をより良くする価値」の創造にお客様と共に取組んでいく所存です。
 そして、お役立ち道に立脚した需要創造型実践理念経営のノウハウ化を進めることにより、より御受講企業様の成果向上に役立っていきたいと思っています。
 50周年を迎えるにあたって、御受講企業様に心よりの感謝の意思が少しでも伝われば幸いです。


※1お役立ち道とは、お役立ちの精神と技量を磨き続けること

※2「人間は怠けることがあるかもしれないが、生来働くことが好きなので、条件が整えば遊びと同様、仕事にも打ち込むし、自ら責任を引き受けようとするし、成長したいと願うものである」「企業内の問題を解決しようと比較的高度の想像力を駆使し、手練をつくし、創意工夫をこらす能力は、たいていの人間に備わっているものであり、一部の人だけのものではない」(ダグラス・マグレガー『企業の人間的側面』より)
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