風邪であれば、医師の診断を受けさせ、よく栄養をとってしっかりと休養させる、というように対処のイメージもしやすいと思います。
ではうつ病の場合はどうでしょうか。
ここでは発症期と回復期に分けてご説明します。
まずは発症期の対応です。
① 本人を理解してあげる
理解するという意味は、共感であり一緒に希望を持つことです。当人は自身の状況がこれからどうなるのか不安で一杯です。ですから、頭ごなしに否定せず、「なにもやる気がない」と言われれば「やらなくてもいいんだよ」、「このまま治らないんじゃいかな」といった言葉には 「時間をかければ少しずつよくなるよ」と気持ちを理解してあげることが大切です。
② 原因は探さない(会社であれば周囲の客観的事実のみを調べてください)
これといった原因がなかなかわからないケースも多く、そこであれこれ悩んでしまいます。周囲としては原因を知りたいものですが、まずは体調の回復を優先しましょう。会社の場合は原因がわからない場合に上司が原因とされてしまうケースもありますが、早計な判断は禁物です。
③ 励まさない
励ますということは、頭で体をコントロールすることです。うつになると頭で体をコントロール出来ない状態ですので、「頑張ろう」とか「やってみよう」ということが本人にとって負担になるのです。腫れものに触るような扱いはかえってよくありませんが、声をかけるときは少しだけ気を遣って「気分転換にどこかへ行こう」ではなく、「自分は外に出るけど一緒に行く?」と本人の気持ち次第で決められるようにしてください。最初は何もやる気がなくても徐々に動こうと気持ちが出てくるようになります。
また、医師への付き添い受診は有効な手段です。本人に代わって症状を正確に伝えることで、的確な治療を行うことが出来ます。また周囲でどのようなサポートが必要か教えてもらうことも出来るからです。
こうしたサポートを経て、やがて回復期に移ります。この時期は発症期の対応とは違い、積極的にサポートを行ってください。
また、本人にとっては生活リズムを作る重要な段階となります。
「生活リズム」とは、起きる・栄養を取る・活動する(体を動かす)・寝る、などの一連のリズムを規則正しく出来るようになるのが目標です。
まずは毎日の起床時、就寝時間や食事内容、行動内容、その時の気分などを記録してみましょう。その際、焦ってすべてをいっぺんに行おうとせず、少しずつできることから積み上げていってください。
また、この生活リズムを整える段階で、一番大切なのが「毎朝同じ時間に起きること」です。まずは太陽の動きに合わせて活動を始めることを目標とし、6時から8時の間での起床を心がけます。
慣れないうちはつらいかもしれません。そんなときは後から布団に戻ってもいいので、とにかく一旦布団から出てカーテンを開け、日の光を浴びましょう。
そして、これが出来るようになったところで、午前中散歩に出たり、読書をしたりと日常に近づけていきます。
繰り返しになりますが、いっぺんに行おうとすると、かえって体はうまく動かなくなってしまいます。そんな時は最初に戻って朝起きるところから始めてください。急にはよくなりませんので一歩一歩、着実に進んでいくことが大切です。
生活リズムが出来始めると、少しずつ通常の生活に戻ることが出来るようになっていきます。
通常の生活を送ることが出来るようになったら、仕事に戻る方は仕事上のストレスに対応できるように準備してください。
*生活リズム整えるための準備を始めるタイミングについては、専門家の意見を聞いてください。
うつ病からの回復がなかなか思うように進まず、本人がやる気をなくしてしまうこともあります。そうしたときはサポートする方が寄り添い、長い目で付き合ってあげてください。
サポートする方が悩んだり、これでいいのかと迷った場合には、専門家にアドバイスもらったり、力を借りながら進めていくことも大切です。
- 1