では、皆さんのチームはメンバーから改善提案が上がってきますでしょうか?例えば、「今チームで使っている書類が使いづらいので、新しいものに変えましょう」「朝礼が惰性になっているので、やり方を変えましょう」といった意見は出てくるかどうか。
以下、改善提案が出てこない原因をいくつかピックアップしました。
原因1:問題に気づいていない
長い間、同じ業務のやり方を続けていると、そのやり方に慣れてしまい何も問題を感じなくなります。転職してきた社員が「なんだ、ここの会社は!?」とビックリしても、他のメンバーは「え、何が?」という状況です。
原因2:問題には気づいているが、自分が責任を負いたくない
問題には気づいており、改善の必要性を感じています。しかし、「言いだしっぺが結局やる羽目になる」ということを恐れ、誰も言い出しません・・・。保守的な組織に多い原因です。
原因3:上司に進言すると面倒なことになる
上司に問題を進言すると、「誰が原因だ!」と犯人探しをされたり、「俺のやり方にケチをつけたいのか?」と押しつぶされたり・・・。だったら、言わない方がマシとばかりに、誰も言わなくなるケースです。
まず、「原因1」の状態の場合は、一度ミーティング等で「チームの問題を洗い出す」という取り組みをしてみてください。なかなかでないようであれば、他チームや他部署の人をゲストとして参加させ、一緒に考えてもらうのが良いでしょう。とにかく、まずは「問題がある」ということに気づくことが先決です。
「原因2」の場合は、改善提案を出した人を大いに評価したり、私たち上司が熱心にフォローするという姿勢を見せないといけません。改善提案を出した社員に報奨金を出している会社もあります。
いずれにしても、改善提案を出した人は「えらい!」という雰囲気を作ることです。
最もたちが悪いのが「原因3」です。
私たち上司はチームには問題はあるものだという認識が必要です。
そして、問題解決を通じてメンバーを育成するという気持ちを持つことです。
また、問題が解決されたらチームは進化します。
ただし、メンバーから出てくるものが、「事務処理が多いので何とかして欲しい」「システムが使いづらい」等と言った、依存的な不満ばかりでは意味がありません。
メンバーから改善提案が出てくれば、大変頼もしいですね。
チームの業務が改善されればもちろん私たち上司もマネジメントがやりやすくなります。
しかし、「今の会議では意味がないから、改善して欲しい」「チームの業績を管理するフォームが使いにくいので、何とかして欲しい」といった提案の仕方をしてくるメンバーがいます。いや、これは正式には提案ではありません。単なる「わがまま」です。
「~して欲しい」というのは、要するに「自分は手を下さないが、上司であるあなたが考えて何とかして欲しい」と言っているのです。もちろん、「カチン」とくる上司も多いことでしょう。「じゃあ、お前が新しいフォーム作れよ!文句言ってるんじゃない」と一括してしまうマネジャーもいそうですね・・・。
確かに、「わがまま」ではありますが、勇気を出して意見を言っていることは評価に値します。また、訴えているポイントが「確かに・・・」と思う箇所なのであればなおさらです。この働きかけを生かすことが大切です。まず、「~して欲しい」と言ってきたら、「確かにそれは言えるな・・・。具体的にはどのようにすればいいか聞かせてくれないか?」と話をしてもらうことが必要です。メンバーはここぞとばかりに色々と訴えるでしょう。それを聞いて「勝手なこと言いやがって・・」とイライラしてはいけません。
グチっぽく聞こえても、結構いいアイデアが入っているはずです。
そこで、「それは、なかなかいいアイデアだな。では、やってみようかと思うんだが、○○さん、あなたの力を借りてもいいかな?」と打診します。
最初は戸惑うかもしれませんが、「アイデアを出したあなたの力を借りたい。もちろん、私も協力する」というスタンスで話せば大方のメンバーは引き受けます。
私の研修で、このような流れを説明すると、「まあ、そうだろうな・・・。そういう風にやるのが理想だよ」と言う上司の皆様が多いようです。
そこで、研修では、この簡単な流れをロールプレイングでやってみるんです。
うまくいきそうですよね。
いや、実はなかなかうまくいかない・・・。練習と分かっていても「自分で言ったんだから、やれよ。普通言いだしっぺがやるんだよ」等と、イライラしてしまう。
結局このような姿勢が、「あの上司に提案すると、面倒なことになる」「どうせ聞いてもらえない」という諦めを生んで、改善提案がほとんど出ない職場を作ってしまうのです。「何でうちのチームは改善提案が出ないんだ!」と嘆く前に、もう一度メンバーの意見をじっくり傾聴する心構えを持つことが先決ですね。
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