日報は、上司と部下とのコミュニケーションツールとして、多くの企業が古くから取り入れている手法です。
メンバーの日報にせっせとコメント書いている上司の皆さんも多いことと思います。
しかし、メンバークラスが集まる研修で、「日報を真面目に書いているか?」という質問を投げると、「実は・・・」と本音が出てくることがあります。
「その週の日報は、金曜日の夕方にまとめて書いている」
「数日前の行動は覚えていないので、適当に書くことも多い」
「上司に色々言われると面倒なので、悪いことはあまり書かない」
「日報は時間の無駄。何のために書いているのか分からない」
もちろん、多くのメンバーは真面目に日報を書いていると思われますが、上記のような人がいるのも事実です。
なぜ、日報にあまり良いイメージがないのでしょうか?
それは、我々上司にも責任があります。日報のコメントに、「なぜ、このお客様に訪問したのですか?意味のない活動は即刻やめるように」「一つの仕事にかける時間が長すぎる!もっと効率よい仕事をしなさい」などといったマイナスのコメントが多いとメンバーのやる気が低下してしまいます。
もっと良くないのは、何もコメントせず、ハンコだけ押して返すという行為。
メンバーは何のために日報を書いているか分からなくなります。
そもそも、日報はその日の行動を振り返り、より良い行動にするためのツールです。
つまり、PDCAのCAを行うツールなのです。
ですから、その日の活動内容にプラスして「創出された成果」「反省すべき点」といったプラス・マイナスを検証する箇所があることが理想。
そこに書き込まれた内容に対して、我々上司が「最近○○が非常にうまくなってきましたね。
見ていて頼もしく感じます」といった賞賛や、「例えば~というやり方を取ってみてはどうでしょうか?」といったアドバイスを書き込む。
自分の振り返りに対してアドバイスや激励の言葉が書かれていれば、日報を書く意味を感じ、更に自分を振り返ることとなります。
当然、振り返りが多ければそれだけ行動が進化しますから、成長は早まりますね。
強いチーム実現に一歩近づきます。
強いチームづくりのために、是非日報を有効活用してください。
「強いチームづくり」という観点でいうと、個人の日報を、個人だけのものにしておくのはもったいない。
非常に良い活動をしているメンバーの日報は、他のメンバーに公開しても良いのではないでしょうか?
すでに、SFA(セールスフォースオートメーション)を導入している企業では、他のメンバーの日報が自由に見られるようになっていることも多いようです。
しかし、メンバーは積極的に他のメンバーの日報を見ない・・・。それが、多くの企業での現実です。
自分の日報を書き終えて、「やれやれ、終わった終わった」と帰ってしまいます。
要するに、「日報は面倒くさい。自分はまともに書いていないのだから、他のメンバーもどうせまともに書いていない。だから、見てもムダ」という感覚に陥りやすい。
しかし、我々上司からすると、非常に素晴らしい動きをし、それが日報に繁栄されているのであれば、是非他のメンバーにも見てもらいたいですね。
そこで、日報を思い切ってオフィスの壁に張り出してみたらいかがでしょうか?
各自のスペースを作り、月曜日から毎日貼っていく。次の週の月曜日になったら先週の日報は全てはがし、また1日ずつ貼っていく。これでしたら、「どれどれ・・」と興味本位で覗き込むのでは?
そして、「おい、この○○様での提案書、ちょっと見せてくれよ」などと会話が始まり、情報共有がスタート。
ものすごくアナログですが、結構効果があると思います。
また、この方法のメリットとして、「皆に見られるのであれば、真面目に書かなくては」と適当に書いていた人も真剣になる。
それどころか、「皆に見られるのであれば、もうちょっとがんばって仕事をして、良い内容を日報に書くぞ!」と日々のパフォーマンスが向上する。色々な面で良い効果が出そうです。
壁に貼るスペースがないのであれば、我々上司が見て「これは良い」と思った日報をコピーし、チームのミーティングの際にみんなに配って見てもらう。それだけでも、十分に効果があります。
こう考えると、日報は上司と部下だけのものではなく、チーム全員のための、情報共有ツールとなりますね。
ここ最近、「日報は時間の無駄」と辞めてしまう企業も増えていますが、このような使い方でしたら、是非復活させてみてもよいのではないでしょうか?
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