Z世代の「キャリア形成」・「価値観」について考える
産業能率大学 経営学部教授 齊藤 弘通氏
幼少期から“社会の暗い側面”を経験し、育ってきたZ世代
若手人材を「Z世代」と一括りにして、ステレオタイプ的に捉えるのは決して好ましくないのですが、全体的な傾向や考え方を知ることで育成やマネジメントに活かされる面もあるはずです。Z世代については、これまで多くの調査がなされ、論じられてきました。それらの情報をもとに、特徴や企業が取るべき措置を検討したいと思います。まずZ世代の特徴を紹介します。Z世代は1990年代半ばから2010年代序盤に誕生した層を指します。この間、「リーマンショック」、「東日本大震災」、「熊本地震」、「新型コロナウイルス」、「ウクライナへの軍事侵攻」などがあり、幼少期から社会の暗い側面を多く経験してきました。同時に、技術革新が起こり、ICTは大きく発展しています。こうした時代背景を受け、“Z世代の特徴”としては次のことが挙げられます。「高いITリテラシー」、「高いSNS活用能力」、「強い発信欲求」、「強い自己承認欲求・過剰な自意識」、「安定志向・現実主義」、「目的・意味志向」、「効率志向」、「自分らしさの重視と多様性の受容」、「サステナビリティの重視」、「プライベート重視」などです。
他方、現在管理職になっているのは、1960年代半ばから1980年頃までに生まれ、「高度経済成長」や「バブル崩壊」などを経験してきた「X世代」が中心です。世代が隔てられていることで、育ってきた時代背景は大きく異なります。そのため、管理職であるX世代がZ世代への対応に戸惑うのも致し方ないでしょう。では、上記のような特徴を持つZ世代に、どのような人材育成やマネジメントを行うのが適切と考えられるのか。Z世代を対象とした様々な調査結果を踏まえながら、「求める働き方」、「働く上で重視すること」、「働きたい企業」、「働きたい職場」、「キャリア展望」の5つの観点から見ていきます。
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