
「労働市場改革」に向けた“人的資本投資”の効果
厚生労働省 政策統括官(総合政策担当)付 労働経済特別研究官 中井 雅之氏
労働市場の現状と企業の課題点

こうした中、日本においては、企業は従業員に対して学ぶ機会を与えず、従業員も学ばない傾向が強いというのが現状です。民間企業における教育訓練費の割合の推移をみると、1980年代には上昇していましたが、90年代以降は低下・横ばい傾向にあります。
次に、転職者数の推移をみると、コロナ前までは増加傾向にありましたが、2020年から大幅に減少し、2022年は3年ぶりの増加となりました。
また、従業員の働きがいなどメンタル的な健康度を示す「従業員エンゲージメント」を国際比較した調査によると、日本企業は世界全体でも非常に低いスコアとなっています。そうした中で、企業にとっては「働きがい」をもって働くことのできる環境づくりが不可欠となるでしょう。働きがいを向上させることで、「定着率」、「離職率」、「ストレス」、「労働生産性」、「顧客満足度」などが改善する可能性もありますので、企業はそういった点に取り組む必要があるでしょう。
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