人的資本経営の推進には、経営と現場をつなぐマネジャーの活躍が欠かせない。一方で、マネジャーへの適切な支援が不足し、現場が機能不全に陥るケースも多くなっている。今回、HR総研と産業能率大学は、共同で「マネジャー支援の実態」を調査した。本講演では、同大の関和之氏と中拂美樹氏が調査の結果・分析の報告を行うとともに、HR総研の寺澤康介をファシリテーターとしてパネルディスカッションを実施。社外HRBPの設置などが提言された。
現代のHR部門に求められる“適切なマネジャー支援”。「HRBP」の設置が人的資本経営を真に機能させるカギに

HR部門による「マネジャー支援の実態」――共同調査の結果・分析の報告

産業能率大学 経営学部 准教授 関 和之氏

世の中の現場マネジャーは「孤軍奮闘」している

現代のHR部門に求められる“適切なマネジャー支援”。「HRBP」の設置が人的資本経営を真に機能させるカギに
課長級の現場マネジャーは、企業の戦略を推進するキーパーソンです。この現場マネジャーの職には、多くの場合、組織の中で優秀な人材が選ばれます。しかし、そうした優秀な人材も、一人で何でもできるわけではありません。「HR部門が主体となり、より積極的な支援を行うべきなのではないか」、「実態はどうなっているのか」。私たちはこうした問題意識を持ち、調査に乗り出しました。

まず「マネジャー」について、組織の中でどのような役割あるいは立場を担っているかという点に言及します。調査の結果、マネジメント業務だけを行うマネジャーはわずか2%にとどまり、実に98%がいわゆる「プレイングマネジャー」であることが明らかになりました。日本企業のマネジャーは、成果達成の重圧に耐えながら、部下への業務指導や育成などを行っています。「マネジャー」というと、成果プレッシャーの中で奮闘している姿が思い浮かぶのではないでしょうか。

では現状、企業ではHR部門からマネジャーへどのような支援が行われ、パフォーマンスにどのような影響を与えているか。マネジャーの「目標達成への支援」、「学習行動への支援」、「役割変化への支援」の3つの観点からポイントを提示します。

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