本アンケートでは、各企業における「ジョブ型雇用」の導入についてメリットや課題、背景にある人材戦略の運用状況とともに、新卒採用での「ジョブ型採用」を含むターゲット層の確保に向けた採用戦略に関する実態調査を実施した。本レポートでは、本調査結果をもとに、ジョブ型雇用やジョブ型採用の効果的な活用について考察する。
革新型企業の 6 割でジョブ型雇用を導入、業種による特徴も見える
まず、業務内容や役割に基づいて従業員の雇用形態を決定する「ジョブ型雇用」の導入の必要性に対する認識を見てみる。ジョブ型雇用の導入に「必要性を感じている」割合は 21%、「必要性をやや感じている」は 33%となり、これらを合計した「必要性を感じている派」は 54%と過半数となっている(図表 1-1)。
図表 1-1 ジョブ型雇用の導入の必要性への認識
図表 1-2 企業規模別 ジョブ型雇用の導入状況
業種別に見ると、「導入している」の割合が他業種より顕著に高いのは「情報・通信」で 52%と半数に上っている。社会全体でニーズが高まる反面、人材不足が叫ばれている IT 人材が、ジョブ型雇用の主な対象となっていることがうかがえる。一方、最も導入率が低いのは「運輸・不動産・
エネルギー」で僅か 9%と1割未満である(図表 1-3)。
図表 1-3 業種別 ジョブ型雇用の導入状況
回答企業の主要事業における経営戦略タイプを、高品質の製品・サービスや低価格製品等により、業界変化に関係なく限定した領域の事業を守る「保守型」、リスクを取っても積極的に幅広く新規事業・市場を開拓し、市場変化に他社より迅速に対応する「革新型」、既存事業を守りつつ将来性のある事業等に高品質の後発製品・サービスを展開する「バランス型」、特定の戦略にこだわらず、市場や競合の動きに合わせながら事業展開する「自然型」の 4 つに分けている。
これら4タイプで比較すると、ジョブ型雇用を「導入している」とする企業の割合は、「革新型」が圧倒的に高く 59%と6割に上り、次いで「バランス型」が 30%となっている。最も低い割合なのは「自然型」の 11%である(図表 1-4)。
図表 1-4 経営戦略タイプ別 ジョブ型雇用の導入状況
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