ITエンジニア・クリエイターの正社員求人数・転職希望者数はともに増加傾向。求人倍率は12.0倍
AI技術の発展やDXの推進を背景に、IT人材の需要は年々高まっている。IT人材の不足により企業におけるIT人材の採用は困難を極めているが、ITエンジニア・クリエイター・フリーランスの転職市場はどのような動向となっているのだろうか。はじめにレバテックは、ITエンジニア・クリエイターにおける「正社員求人数・求人倍率」と「正社員転職希望者数」を調べた。正社員求人数・求人倍率をみると、2023年12月時点での「正社員転職求人倍率」は12.0倍だった。また、「正社員求人数」は前年同月比129%、「転職希望者数」は前年同月比173%となり、ともに増加した。
さらに、正社員転職希望者数をみると、「12月の転職希望者数」は過去最高となり、特に転職希望者数の伸びは著しかった。
厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況」(※)によると、2023年11月の正社員有効求人倍率は1.0倍だったという。この結果を踏まえて同社は、「ITエンジニア・クリエイターの求人倍率は依然として高い水準で推移しており、IT人材の売り手市場は継続しているといえる」との見解を示している。
正社員求人数は「PM」が最多。前年同月比125.7%と右肩上がりの高需要
続いて同社は、「カテゴリ別正社員求人数の推移」と「スキル・職種別求人倍率」を調査した。すると、2023年12月の「正社員求人数」の1位は「PM(プロジェクトマネージャー)」で、「PMの求人数」は前年同月比125.7%と増加した。また、「求人倍率」は29.5%と前年同月比で3.2倍高くなっており、正社員転職市場における需要増加の傾向が見られた。そのほか、「データマイニング」と「クラウド」の正社員求人数はそれぞれ前年同月比120%超えとなり、その需要の高さを示す結果となった。AI活用におけるビッグデータ解析やDX推進に対するニーズが高まるなか、このような専門スキルを持つIT人材の需要は依然として高いことが見て取れる。
「フリーランス案件希望者数」は前年同月比144%で、コロナ禍前と比較し約3.8倍に
次に同社は、ITエンジニア・クリエイターの「フリーランス案件発生数」と「フリーランス案件希望者数」を比較した。すると、2023年12月の「フリーランス案件発生数」は前年同月比153%、「案件希望者数」は前年同月比144%となり、それぞれ右肩上がりで増加傾向だった。コロナ禍前の2019年頃と比較すると、フリーランスの案件希望者数は4年で約3.8倍に成長していることから、フリーランスという働き方が浸透しつつあることがうかがえる。これを受けて同社は、「政府は多様な働き方を後押しするべく法改正を進めており、2024年秋には取引の適正化を目的としたフリーランス保護新法が施行される見通しだ。フリーランスが安心して働ける環境が整備されるのに伴い、フリーランスといった働き方を希望する人は今後もさらに増加するのではないか」とコメントしている。
依然として根強い人気を誇る「Java」がフリーランス案件発生数1位に
最後に、同社が「カテゴリ別のフリーランス案件発生数の推移」をまとめたところ、2023年12月」のフリーランス案件発生数は「Java」が1位となり、「PHP」や「Python」、「C#/C#.NET」などといった主要なプログラミング言語と比較し、2倍以上の差がついた。同社が運営するITフリーランス専門エージェントが発表したデータ(※)によると、「Go」や「Ruby」といったモダンなプログラミング言語は平均単価80万円を超える高単価の傾向が見られるが、案件数としては「Java」が最も多い実態があるという。日本でも新しいプログラミング言語を採用する企業は増えているが、依然としてJavaの人気は根強いことがうかがえる。