第11回 日本HRチャレンジ大賞『イノベーション賞』
株式会社ベネッセビジネスメイト
障がい者雇用における「指導員・業務リーダー育成システム」の構築
~障がい者雇用拡大のキーとなる支援者の成長をめざす~
障がい者雇用現場での支援者には、障がい特性に配慮しながら業務を遂行するという高いハードルがあり、なかなか採用や育成が難しい状況である中、障がい者の指導員・業務リーダーが常にスキルアップでき、その力を現場で発揮してやりがいをもって仕事ができる仕組みを構築・運用して効果が得られてきていることが革新的であり、高く評価されました。プロフィール
茶谷 宏康 氏
株式会社ベネッセビジネスメイト
1991年福武書店(現ベネッセコーポレーション)に新卒入社。学校事業や教室事業を中心に教育事業部門に長く携わる。2019年にベネッセビジネスメイトに出向して東京シェアードサービス部長に着任、2020年4月より代表取締役社長に就任。
代表取締役社長
原田 昌尚 氏
株式会社ベネッセビジネスメイト
1997年ベネッセコーポレーション入社。学校事業や海外事業、また経営推進など広く業務に携わり、2020年よりベネッセビジネスメイトの人事・総務部に異動。
人事・総務部 部長
指導員・業務リーダーの育成が重要になった背景とは
――まずは、障がい者雇用における「指導員・業務リーダー育成システム」の取り組みを始められたきっかけからお聞かせください。原田氏:当社はベネッセグループの障がい者雇用を目的とした特例子会社として、グループの業務サポート、ファシリティサービス、施設運営などを担っています。近年、事務系の業務がかなり増えてきており、さらに追い打ちをかけたのが、2020年からの新型コロナウイルスでした。これで環境が大きく変わり、現場の指導員・業務リーダーの役割が一段と重要になりました。親会社のベネッセ本体では在宅勤務が進み、弊社の受託業務もそれによって大きく変化しました。業務の難易度も高くなり、指導員・業務リーダーも従来までのやり方では、対応しにくくなってしまったのです。会社として何とかリーダー層のサポートをできないかということで、育成システムの企画・構築を進め、2021年にようやく導入できました。
また、指導員・業務リーダーの採用も行っているものの、障がい者支援の経験がある方はそれほど多くありません。そのため、採用だけでなく、今いるリーダー層への育成も注力していく必要がありました。当然それぞれ得意・不得意もあるので、通り一片の研修ではなく、個々に応じた研修も行うべきだと考えたのも、取り組みを始めたきっかけでした。
茶谷氏:まずは、新型コロナの影響で変わらざるを得なかったという状況が一つあります。親会社の働き方が変わったことで、テレワークが進みましたし、多摩では親会社の拠点も一つに集約されました。その結果、ファシリティサービスを中心に業務が減り、ペーパーレス化のあおりもすごく受けました。このように当社の業務が急激に縮小するという状況の中でも、従業員の雇用を守り続けていかないといけません。そこで親会社のコア業務に近い業務もできるように体制を整えました。ただ、コア業務に踏み込むと業務も難しくなっていきます。メンバーの成長を導くには、指導員・業務リーダー自身も成長しないといけません。業務の変化によって、それがより浮き彫りになったと言えます。
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