第11回 日本HRチャレンジ大賞『地方活性賞』
有限会社ウェルフェア三重
介護サービス事業に新たな風!週休3日!夜勤専従!メンタルヘルス!職員のワークライフバランスを整え、ON-OFFの切り替えができる働き方改革
介護業界であまりない週休3日・夜勤専従10時間勤務で、スタッフのメンタルヘルスが安定化し、業務を継続できる体制を構築。スタッフの心身の安定により、離職率の低下や採用力が強化されるとともに、サービス向上にも繋がっている。介護サービスという地域に密着した事業を展開する地方企業のこのような努力により、地方活性に貢献していることが高く評価されました。プロフィール
松原 和之 氏
有限会社ウェルフェア三重
10年前に一般企業から介護業界に転身。その後特別養護老人ホームの相談員を経て現在の有限会社ウェルフェア三重が運営する有料老人ホームみっかいちに施設長として入職する。入職後、数々の業務改革を実施し離職率の低下や介護業界にイノベーションを起こすべく、当時まだ介護業界では珍しい週休三日制度を成功させ、また高齢者雇用など分業制度なども確立させ、国が進める働き方改革のモデル施設としても各種コンテストでもいくつも賞を受賞するほどの施設に育て上げた。現在は、法人の経営戦略室のメンバーとして新しい企画やICT活用などの部門を担い、キャリアコンサルタントとして法人内職員に対してのカウンセリングも行っている。
介護付有料老人ホームみっかいち 施設長
人材採用の成功に向けて新しい働き方を模索し始める
――改めて、貴社が取り組んだ「職員のワークライフバランスを整え、ON-OFFの切り替えができる働き方改革」について教えてください。今から約4年前に、私が施設長を務める「介護付有料老人ホームみっかいち」で、職員の働き方を大きく変更しました。具体的には、一般的な週休2日、日勤・夜勤の交代勤務、8時間勤務から、「週休3日」、「日勤もしくは夜勤専従」、「10時間勤務」への切り替えです。日勤と夜勤は選択制で、仮に日勤を選べば夜勤を行うことはありません。給与水準も維持し、切り替え前後で支給額はほぼ同じとなっています。あわせて、キャリアコンサルタントと連携し、職員のメンタルヘルスのサポートも行っています。
――非常に革新的な取り組みだったと思いますが、なぜ着手したのでしょうか。
みっかいちの施設は定員29人、介護職員9人の規模で、伊勢市に本社を構えるウェルフェア三重が運営しています。ウェルフェア三重は伊勢市では一定の知名度があって、人材を募集すればある程度、応募は集まります。ところが、みっかいちのある鈴鹿市ではあまり認知されておらず、求人の募集をかけても反応を得られません。正直なところ、事業存続の危機にまで追い込まれました。大きく現状を変えるしかないと思案し、たどり着いたのが週休3日でした。当時、週休3日を導入している施設は周囲にほぼなく、その分、十分なインパクトを与えることができ人材も集められるだろうと考えたのです。週休3日制を準備する過程で、夜勤専従の働き方もあったほうが良いと気づき、同時に導入することになりました。
――介護施設で週休3日の導入は非常に困難なように思えます。
確かにそうおっしゃれる方は少ならずいらっしゃいます。15分勤務時間をずらすだけでも大変なのに週5日勤務を4日にするのですから、これは無理だろうと最初からあきらめてしまうこともあるようです。しかし、シミュレーションしてみたところ、シフトに穴を空けることなく週休3日を実現できるとわかりました。準備には半年かけ、実情との乖離はないか、どこかに間違いはないか、介護主任を交えて分刻みで入念にチェックしました。細かく見れば月にほんの数時間だけ空きが出ましたが、それは私を含め他の専門職の職員と協力すれば十分に埋められる程度です。データで確認したことによって、実現は可能だと確信を持って進められました。
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