今回は、数々の企業にコンサルティングを行うとともに就活生の動向にも詳しい株式会社人材研究所 代表取締役社長 曽和利光氏と、ダイレクトリクルーティングサービス『キミスカ』など多彩な新卒採用事業を展開する株式会社グローアップ 新卒事業部 マネージャー 加藤佑基氏による対談を実施。
こうした時代において、特に中小企業・ベンチャー企業が取り組むべき採用戦略とは何か、語っていただいた。
プロフィール
株式会社人材研究所 代表取締役社長
京都大学 教育学部教育心理学科卒業。株式会社リクルート、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。2011年、株式会社人材研究所を設立。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。
曽和 利光 氏株式会社グローアップ 新卒事業部 マネージャー
2015年新卒としてグローアップに入社。中途人材領域での営業経験後、2016年より経営企画室を立ち上げ。その後、全社のマーケティング及びサービス開発に携わり、『キミスカ』のマーケティング統括として、年間15万人の就活生が使うサービスへと成長させ、現職。自社の採用担当者として、採用全体の設計からインターンシップなどのコンテンツ作成も行ってきた。キミスカのコンセプトでもある『ありのまま』の採用・就活の実現に向けて日々活動をしている。
加藤 佑基 氏
早期化+オンライン化+コロナネイティブ世代の採用選考を考える
加藤氏 就活ルールの廃止によって企業の採用選考活動が早期化したと言われ、学生の側もかなり早い段階から就活の準備を始めるようになっています。弊社が運営するダイレクトリクルーティングサービス『キミスカ』でも、これまでに比べて早い時期に登録する学生が増えました。ただ、コロナ禍とあって通常の学生生活を送れなかった学生も多く、『キミスカ』のプロフィール欄に何を書けばいいのか、自己PRには苦労しているようです。
曽和氏 学生時代に力を注いだこと、いわゆる“ガクチカ”がないと悩んでいる学生は、確かに増えています。バイト経験率が低いというデータもあり、そのせいか、あるアセスメントでは「対人能力」が低く出ているそうです。人と向き合って何かをする機会が少なかったので無理もありません。
曽和氏 実は「コロナ世代の就活を応援する会」というものがあり、これに参加する約90社では、学生たちに対して「君たちに“ガクチカ”が欠けていることはわかっています。学業のことでも、高校時代のことでもいいから話してください」という姿勢で面接を実施しています。学生の不安を解消してあげることが、いまは必要なのだと思います。
加藤氏 学生の不安とも関係があるのか、エントリーから一次面接、二次面接と進む過程で、選考辞退・内定辞退が多い会社と少ない会社、いわゆる“歩留まり”の点で二極化が見られるのも最近の傾向です。
曽和氏 面接がオンライン化されたことで、会話のキャッチボールは難しくなりました。またオンラインでは身振りや姿勢といった非言語のコミュニケーションも乏しくなり、「情報は伝わるけれど熱意や感情は伝えられない」とも言われています。こうした壁を越えられない企業が、歩留まりの悪さに悩んでいるのではないでしょうか。
加藤氏 学生は面接や説明会で会社の雰囲気をつかもうとします。その部分の不足と不安から、選考や内定を辞退するのかも知れませんね。
そこで企業側は手法を変化させて対応しようとしています。たとえば、面接を会話のキャッチボール型ではなくプレゼンテーション型にする。非言語コミュニケーションではなく学生の言語化能力を見る。学生から引き出したい内容やその手順を明確化・マニュアル化した「構造化面接」を採用する企業も増えました。
その結果、学生の持つ雰囲気・印象といったバイアスに惑わされなくなった、オンラインの方が評価の精度が高くなる可能性がある、という声も聞いています。採用した学生が入社後にしっかりと活躍してくれるそうなのです。
この後、下記のトピックが続きます。
続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。
●学生へアピールすべき自社の魅力をどう伝えるか?
●“採用につながりやすい人”へのアプローチ手法
●“採用担当者最適”に陥らない。
採用選考で目指すべき“採用最適”への道筋
●チャネルによって最適な採用プロセス
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