「SDGs(持続可能な開発目標)」とはどのようなものか
「SDGs:Sustainable Development Goals」とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、2030年までに「持続可能でよりよい世界を目指す」ための国際目標です。“17のゴール”と“169のターゲット”によって構成され、「地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っており、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものとしています。大企業では、数年前からSDGsに関するさまざまな取組みが行われていたものの、一般的にはまだ認知度が低く、取組事例も限られていたように思います。しかし、現在では中小企業もSDGsについて約9割が認知しているようです。
SDGsの認知は高まるも、理解度によって取組みの進度に差がある状況
最近では、企業のホームページはもちろん、TVコマーシャル等でも「持続可能」を意識したものが増えているように感じています。一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)では、2018年に会員企業が取り組んでいるSDGsの事例集を公開しましたが、取組みに進展がみられることから、2022年に更新版を公開しました。多くの企業が取り組みを公開することで、他の企業にも広がっていくと考えられます。また、独立行政法人中小企業基盤整備機構は、2022年に「中小企業のSDGs推進に関する実態調査」の結果を公表しました。調査では、「SDGsの認知度」について、「よく知っている」、「ある程度知っている」、「聞いたことはある」との回答を含め、約9割が「認知している」と回答しています。しかし、SDGsの内容を「十分に理解している」、「やや理解している」とする企業は約4割でした。
「SDGsの理解度」と「取り組み状況」の関係を見ると、「十分理解している」、「やや理解している」と回答した企業のうち、「すでに取り組んでいる」、「今後は取り組んでいく予定」との回答は58.4%となっています。一方で、「あまり理解していない」、「理解していない」と回答した企業では、今後の取り組みについて「未定」、「予定はない」との回答が93.5%でした。
SDGsのメリットを提示するための「情報発信」が重要
SDGsを具体的に、かつ親しみやすく、わかりやすく示している小・中学生向けの番組に、「リフォーマーズの杖」(Eテレ|NHK)があります。現在の子供達は、多くの情報を得て成長していきます。SDGsの情報を得て、そのために自分たちができること見つけて選択していくこれからの子供達は、SDGsを意識していない企業の商品よりも、意識している企業の商品を購入していくのではないでしょうか。企業は、就職活動をしている学生はもちろんのこと、今の小学生や中学生に向けても、情報を発信する必要があると考えます。
中小企業のSDGsの取組状況はまだまだ低水準であり、取組みの拡大を図るためには、SDGsへの理解をより深めていく努力が必要となっていきます。SDGsに取り組む意義や目的として、現状、企業責任や社会貢献を果たすことが強く意識されています。企業の取組み拡大には、「SDGsは、社会貢献とともに、永続的な企業活動も展開できる」というメリットを具体的に提示することが重要となるでしょう。そのために、SDGsの取組事例の公表は、有効な手段となるのではないでしょうか。
「中小企業や小規模企業であっても、企業として社会的責任を果たしつつ、利益もあげることが可能である」というビジネスモデルを発掘し、具体的に提示することで、SDGsを経営に取り入れる目的や意義、メリットを理解してもらえるでしょう。そのような企業への支援が、取組み拡大のためには必要と思われます。
筆者の事務所でも、顧問先企業に向けたセミナーを開催し、職員にはもちろん、ホームページでも取組事例を公開いたしました。筆者の小学生の娘も、「リフォーマーズの杖」を見てからは、買い物をする際など、日々の生活における行動が変わりました。
ぜひ、みなさまの企業でも、まずは取組事例を参考に、SDGsに取り組み、発信していただければと思います。
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