半数超の54.5%が“SDGsに積極的な姿勢”を示す。調査開始以降で最高水準に
SDGsの目標達成期限である2030年に向けた取り組みは進んでおり、世界的に対応が急がれている状況だ。そうしたなか、政府は2023年12月にSDGsを達成するための中長期的な国家戦略である「SDGs実施指針」を4年ぶりに改定。同指針では、社会課題の解決を通じて事業性を高める企業等への支援の強化など民間企業に関わる内容も多く、政府は官民を問わずに国全体としてSDGsの目標達成に向けて力を入れているという。このような状況下において、各企業のSDGsに関する意識はどのようになっているのだろうか。はじめに帝国データバンクは、各企業における「SDGsへの理解や取り組み」を調べている。その結果、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」とした企業は29.7%で、前年調査と比べ2.3ポイント上昇した。また、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は24.8%で同1.4ポイントの低下となっている。なお、これらを合計すると、“SDGsに積極的な姿勢”を示した企業は0.9ポイント増の54.5%となり、調査開始以降で最高水準を更新したものの、前年に続いて上昇幅は鈍化したという。
一方、「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」は33.5%、「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」は7.4%となった。合計すると、“SDGsを認知しつつも取り組んでいない”企業は40.9%となり、“SDGsに積極的な姿勢”を示す企業より13.6ポイント低くなっている。
企業規模が小さいほど“SDGsに積極的な企業”の割合が低くなる傾向
続いて、「SDGsに積極的な企業割合」について企業規模・業界別に調べたところ、「大企業」ではSDGsに積極的な企業が71.8%と、全体を大幅に上回った。また、「中小企業」では51.2%、そのうち「小規模企業」では42.9%となったことから、企業規模が小さいほどSDGsに積極的な企業の割合が低くなる傾向がうかがえた。他方で、SDGsに積極的な企業を業界別に見たところ、「金融」が66.4%で最も高く、次いで「農・林」が64.4%、「製造」が61.9%となっていた。
17目標のうち“力を入れている項目”および“取り組みたい項目”はともに「働きがいも経済成長も」が最多
続いて同社が、「SDGsの17目標のうち、現在力を入れている項目」について尋ねると、最多となったのは「働きがいも経済成長も」で34%だった。以下は、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が25%、「つくる責任つかう責任」が23.2%、「気候変動に具体的な対策を」が23.1%で続いている。そのほか、政府が注力し注目が集まる“女性活躍推進”などを含む「ジェンダー平等を実現しよう」は14.6%で、前年調査と比べて2.4ポイント増加し、最も大きな上昇幅となった。なお、同質問にていずれかの項目を回答した(いずれかの目標に力を入れている)企業は72.8%だった。1つ目の質問で“SDGsを認知しつつも取り組んでいない”とした企業が40.9%だったことも踏まえると、意識せずともSDGsに取り組んでいる企業が一定数あることがうかがえる結果となった。
SDGsへの取り組みによる効果は「企業イメージ向上」が最多。売上や業績への効果も
最後に同社は、現在SDGsのいずれかの目標に力を入れている企業に対し、「SDGsへの取り組みによる効果」を尋ねた。その結果、「企業イメージの向上」が39.8%で最多、次いで「従業員のモチベーションの向上」が32.9%となった。以下、「経営方針等の明確化」(17.8%)、「採用活動におけるプラスの効果」(16.7%)が続いている。他方、「売り上げの増加」(11.6%)や「新規事業立ち上げ、新商品・サービス開発」(8.1%)にも一定割合の回答があったことから、同社は「SDGsへの取り組みは社会課題の解決への貢献だけでなく、ビジネスチャンスの獲得、ひいては業績の改善にも結びついている可能性が示された」としている。なお、「効果を実感」している企業の割合は前年調査(69.2%)から0.3ポイント増加し、69.5%となっている。