従業員組合と聞いて、どのようなイメージをするだろうか。春闘など団体交渉を行うシーンを思い浮かべる人がいるかもしれない。あるいは、あまり機能していないという印象を抱いている人もいるだろう。北國銀行従業員組合は、「組合とは何のためにあるのか」という存在意義を自問自答し、時代の変化に合わせて従業員組合のあり方を再定義した。労働環境保全という従来の機能に加えて、新しく「エンゲージメント醸成」、「キャリア自律支援」、「ナレッジセンター運営」という活動の柱を新たに構築。年間50におよぶ多様な施策を走らせ、従業員の成長や行動を支援している。また自組織のみならず、地域の企業や団体を巻き込んだネットワーク形成や、異業種交流セミナーも積極的に開催。地域に根差すオープンな組合の姿を追求している。この「Haction!」プロジェクトと名付けられた一連の取り組みは、どのような背景で始まり、具体的にどんな成果を従業員や地域に提供しているのか。北國銀行従業員組合 執行委員長 濱村 晃司氏と、書記長 山田 裕史氏に詳しく話を伺った。

第10回 日本HRチャレンジ大賞『地方活性賞』

北國銀行従業員組合

「Haction!」プロジェクトによる、従業員一人ひとりのエンゲージメント醸成およびキャリア自律支援、地域社会への貢献に向けた取り組み

組合活動として従来の機能に加え、エンゲージメント醸成、キャリア自律支援、ナレッジセンター運営の4機能を持ち、従業員のキャリアデザイン支援、地域連携プロジェクトの年間約50施策の実行により従業員の行動変容へと繋げている。地域社会全体への貢献という視座から取り組みを推進し、「人材・組織開発に対する積極投資」、「地域社会への連携」に注力していることが、地方活性化に寄与する取り組みとして高く評価されました。

プロフィール

  • 濱村 晃司 氏

    濱村 晃司 氏

    北國銀行従業員組合
    執行委員長

    1984年生まれ(36歳)。2007年4月 北國銀行入行(新卒)後、石川県、富山県の営業店にて融資業務を中心に法人・個人営業を担当しながら、本店営業部所属中の2015年より組合執行委員を務める。2017年より組合専従となり2019年より執行委員長を務め、現在に至る。
  • 山田 裕史 氏

    山田 裕史 氏

    北國銀行従業員組合
    書記長

    1985年生まれ(36歳)。2008年4月 北國銀行入行(新卒)後、石川県、富山県の営業店にて融資業務を中心に法人・個人営業を担当しながら、松任支店所属中の2017年より組合執行委員を務める。2019年より組合専従となり、現在に至る。
従業員組合のあり方を再定義し、「キャリア自律支援」や「エンゲージメント醸成」、「地域貢献」など年間50におよぶ施策を実行

世の中は変化しているのに組合はそのままでいいのか――その問いかけから「Haction!」プロジェクトは始まった

――年間約50の施策を実行している「Haction!プロジェクト」ですが、まずはプロジェクトをスタートした背景について教えてください。

濱村氏:いわゆる”従業員組合”は、賃上げ交渉など団体で何かをするイメージがあると思います。世の中が右肩上がりで同じ方向に向かっている時代は、それでいいと思います。しかし、今は目まぐるしく変化する時代です。人生100年時代、一人ひとり考えていることも違いますし、銀行員だからといって一生安泰ではありません。翻って、これからの従業員組合はどうあるべきかを考えた結果、一人ひとりの従業員と向き合って活動をすることに行き着いたのです。集団ではなく、個々の従業員が組織とパートナーシップを結び、従業員組合はその支援をする存在であるべきだと考えました。

――活動はいつから始めたのでしょうか。また、プロジェクトはどのような体制で運営していますか。

濱村氏:私が組合の委員長に就任した2019年から具体的な活動を開始しました。労働環境保全という従来の機能に加えて、「エンゲージメント醸成」、「キャリア自律支援」、「ナレッジセンター運営」を柱に据え、様々な取り組みを始めました。運営しているのは組合執行部で、そこには12名が所属。そのうち私と書記長の山田が組合専従で、実質的に2人が中心になって施策を検討したり、実行したりしています。

――「Haction!」というネーミングがすごくユニークに感じるのですが、どのような意図があるのでしょうか。

濱村氏:Health(健康)、Happiness(幸福)、Humor(ユーモア)の頭文字「H」と、具体的な行動を示す「Action」を組み合わせました。また、抑えきれずに出てしまうクシャミのように、色んな考えや想いをどんどん出して動いて欲しいという想いも込めましたね。

この後、下記のトピックで、インタビューが続きます。
続きは記事をダウンロードしてご覧ください。

●組織の中で生きるためではなく、人生100年時代を有意義にするための「キャリア自律支援」
●仕事の充実とエンゲージメントの関係性に着目
●地域のイノベーションを見据えた「ナレッジセンター運営」の取り組み
●2019年からの取り組みを経て、少しずつ主体的なアクションを取る従業員が増えてきた


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