HRプロでは、世界的なリーダーシップ調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」を実施するDDI Japanのゼネラル・マネジャーであるケン・グラハム氏と、MSCの遠山氏、福田氏、そして大企業の経営者と日々議論を重ねる三菱UFJ信託銀行 HR戦略コンサルティング部プリンシパルの内ヶ﨑氏、大伊氏に、お話を伺った。
※写真左から
株式会社マネジメント サービス センター(MSC) 執行役員 福田 俊夫
株式会社マネジメント サービス センター(MSC) 代表取締役社長 遠山 雅弘
三菱UFJ信託銀行株式会社 HR戦略コンサルティング室長 プリンシパル 内ヶ﨑 茂
DDI (Development Dimensions International, Inc.)
日本担当ゼネラル・マネジャー /シニア・リーダーシップ・ストラテジスト ケン・グラハム Ph.D.
三菱UFJ信託銀行株式会社 HR戦略コンサルティング部 プリンシパル 大伊 邦夫
インタビュアー ProFuture 株式会社 代表取締役社長 寺澤 康介
リーダーシップに関する世界最大規模の動向調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」
寺澤 本日は、お集まりいただきありがとうございます。今回、「激変の2020年代の経営者のトップアジェンダとリーダーに求められる条件」をテーマに、みなさんにお話しを伺っていきたいと思います。まず、DDIが実施する世界規模のリーダー調査「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト」(以下GLF)について、ご説明をお願いします。福田 日本では、マネジメントサービスセンターが主体となって調査を行っています。2005年からスタートし、約3年に1度の頻度で実施しています。前回の日本の調査では、95社、1500人のリーダー、71人の人事担当者にご回答を頂きました。今回から三菱UFJ信託銀行も参加され、MSC/DDIとともに調査に加わっていただきます。
寺澤 今回は、三菱UFJ信託銀行もGLFの調査主体として参画されるということですが、どのような背景、どういう問題意識から参画に至ったのでしょうか。
人財のROEを上げる
寺澤 さて、激変する令和の時代、皆さんがお感じになるビジネス環境の変化とは、どのようなものですか?内ヶ﨑 大きく3つの傾向があると感じています。1つ目は、グローバリゼーション。2つ目は、デジタルトランスフォーメーション。3つ目は、少子高齢化です。特にグローバリゼーションに関しては、世界的に大きなリスクが3つあります。1つ目は地球の環境リスク。2つ目は米中を中心とした地政学リスク、3つ目は情報セキュリティのリスク。その中でも現在最も大きいのは、1つ目の環境リスクだと思います。SDGs経営やESG投資の議論が出てきていますが、地球がサステナブルに成長していくために、日本の大企業もサステナビリティ経営をする必要があります。それをリードするのがCEOであり、CFOとCHROが経営のトライアングルとしてタッグを組んでいきます。企業が地球や社会に優しいサステナビリティ経営を推進するためのエコシステムが、人と組織、カルチャーの創造だと考えています。私たちは、CEOとは「Culture Employee Organization」、つまり「人と組織を開発して企業文化を創造できる」真のリーダーだと定義していますが、そのCEOから権限委譲を受けたCHROが、人財のポートフォリオマネジメントの中で、人財開発のROEを持続的に向上させていかねばならないと感じています。
寺澤 なるほど、人財のROEや企業文化という言葉が出ましたが、確かにその通りですね。グラハムさん、DDI/MSCではその点について、どうお考えになりますか?
グラハム ここ何回かのGLF調査で、一貫してCEOの懸念事項のトップとして上がっているのが、次世代リーダーの育成と企業文化の醸成です。有能なリーダーの下で働く社員のエンゲージメントの高い企業は、往々にして利益率が高いという傾向があります。つまり企業の業績向上のためには、人財を育成する文化や、社員のエンゲージメントを高める文化を創っていく必要があります。
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