ゲスト
成田 修造 氏
株式会社クラウドワークス
慶應義塾大学経済学部在学中よりアスタミューゼ株式会社に参画。オープンイノベーション支援サービス「astamuse」の事業企画を手掛ける他、大手人材紹介会社との提携事業を立ち上げ、サイトディレクション、Webマーケティングなどを担当。その後、株式会社アトコレを設立し、代表取締役社長に就任。アート作品の解説まとめサイト「atokore」の立ち上げやiPhoneアプリ開発などを行う。2012年より株式会社クラウドワークスに参画、執行役員に就任する。2014年8月に同社取締役となり、2015年4月より現職。
取締役 副社長 兼 COO
「副業」「兼業」人手不足の切り札
――まずは採用市場の現状と、その中での「副業」「兼業」の動向についてお聞かせください。長らく売り手市場が続いており、本当に良い人材には企業が殺到しています。特にこの2~3年はエンジニア、デザイナーの領域は人材獲得競争が激化し、優秀な人材を採用するのが困難な時代になってきました。そうした中、企業側もフレックス制やリモートワークの導入など従業員の働きやすい環境づくりを積極的に進めており、その中で当然「副業」「兼業」という働き方も当たり前のように容認され始めています。
「副業」と「兼業」は、どちらも本業以外に就いている仕事を指しますが、実はしっかりとした言葉の定義はありません。一般的には「副業」というと本業よりも労働時間が大幅に少ない仕事、「兼業」は本業と同等の労働時間の仕事や本業以外に2つ以上の仕事を掛け持っている場合をいいます。
「副業」「兼業」を推奨する流れは、スタートアップなど小規模な企業ほど顕著ですが、大企業にも変化の兆しが見え始めています。終身雇用や新卒一括採用などに象徴される日本型雇用システムが崩れ始め、いよいよ大企業も変わらざるを得ない時代になってきたと言えるでしょう。実際、みずほ銀行やNTTドコモなども「副業」の解禁に踏み出しており、この流れは今後さらに加速していくことが予想されます。
――クラウドワークスでもいち早く「副業」「兼業」を解禁し、多くの社員の方々が活用されているそうですね。
当社は「働き方革命」をテーマの一つに掲げてサービスを提供しておりますので、まずは自分たち自身が他の企業の見本になるべく、2016年頃から本格的に「副業」や「兼業」を、2019年から本格的に「フルフレックス」や「フルリモートワーク」を解禁しています。
当社の「副業」「兼業」制度は、役職や勤務年数など関係なく基本的に誰でもでき、「フルフレックス」や「フルリモート」を活用すれば働く時間や場所にも制限はありません。さらにいえば、副業に関しては特に申請も不要など、自由度が高いのが特徴です。
チームのメンバーと密にコミュニケーションを取り、信頼関係さえ築けていれば、あとは本人の裁量次第。導入している勤怠システムに安否確認ツールが入っているので、どこで何をしているのか、会社側がモニタリングしようと思えばできるのですが、あえてしていません。むしろ「副業」や「兼業」を始めてから本業でどのような成果が上がっているのか、パフォーマンスを重視しています。
――現在、何割くらいの社員の方が副業をされているのでしょうか? また実施率の高い職種はありますか?
現在3割くらいの社員が何らかの形で「副業」や「兼業」をしています。すべての職種で可能ですが、特にエンジニアやデザイナーは比較的リモートでも仕事をしやすいので、副業をしやすい面はあるでしょう。また、当社では社員が「副業」や「兼業」をするだけでなく、別の企業に所属しながら「副業」や「兼業」をしたい方を受け入れているケースもあります。
――社員を「副業」や「兼業」に送り出す側であり、「副業」や「兼業」したい人を受け入れる側でもあるのですね。「副業」や「兼業」で受け入れている人材には、どのような方がいるのでしょうか?
最近多いのはエンジニアです。このたび弊社では『クラウドリンクス』という副業マッチングサービスを新たに立ち上げたのですが、実はそのシステムも副業のエンジニアが制作に携わっています。またクラウドワークスではセールス業務の一部も別の企業に属している「副業」のスタッフに託しています。弊社の商材を別の会社のセールスの人員に紹介していただき、契約が取れるたびにフィーを支払うという、いわば個人代理店のような格好です。さらに財務、会計、人事のアドバイザーなど、必要に応じて、さまざまな形で外部人材を活用しています。なかには期間終了後に正社員になってくれる方もいます。
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