いよいよ今年は、世界最大のスポーツの祭典が日本で開催されますね。多くの日本のアスリートが代表の座を争って戦う姿を見ていると、すでに胸躍るドラマが始まっているといえます。一方で、協会、監督、コーチのパワハラ問題がさまざまなところで起こっています。これは、単に一部の特別な人が引き起こした問題ということではなく、スポーツの世界でも、これまでの組織と個人、上司・部下の関係性が大きく変わってきていることも大きな原因ではないでしょうか。
組織と個人、企業と働く人の関係性は、世界でも大きく変わってきているといわれていますが、日本ではその影響が他の国よりはるかに大きいのではないか、と私は思っています。なぜかと言えば、少子高齢化が世界最速で進んでいること、多くの企業(特に大手企業)でグローバルビジネスの発展が急務であること、そして、これまで日本の強さを支えてきたメンバーシップ型雇用がジョブ型雇用に(まだら模様に)変わっていこうとしていることなどがあるからです。
大きな環境の変化は、ピンチでもありチャンスでもあります。私たちHR総研は、企業の皆さまにお役に立てる情報の提供を積極的に行い、日本の持続的発展に少しでも寄与できればと思います。本年も何とぞよろしくお願いいたします。
半数以上が「経団連の就活ルールの廃止」に賛否保留
さて今回は、前回に引き続き、2019年11月にクチコミサイト「就活会議」を運営する株式会社リブセンスとHR総研が共同で実施した2021年卒業予定の就活生を対象とした「インターンシップ及び就活意識調査」の結果を報告します。「経団連の就活ルールの廃止」や「ジョブ型採用(職種別採用)の拡大」「一律初任給の廃止」の動きについて、あるいは就職ナビ「リクナビ」の閲覧履歴に基づく内定辞退率予測データの提供問題を学生はどう捉えているのかを見ていきたいと思います。まずは、「経団連の就活ルールの廃止」について見ていきます。2021年卒学生からが対象となる「経団連の就活ルールの廃止についての賛否」を聞いたところ、文系・理系ともに「どちらとも言えない」が51%となっており、「賛成」は文系24%、理系33%、「反対」は文系25%、理系16%となっています[図表1]。文系学生より理系学生の賛成派がやや多いものの、半数以上の学生が「経団連の就活ルールの廃止」の影響をイメージしづらく、賛否を判断しかねる状況であることがうかがえます。
【賛成】
・自分が就活を行いたい時期に自由に決められることは、大学生活全体のプランを立てる上で自由度が大きく向上するため(旧帝大クラス・理系)
・すでにルール自体が形骸化しているほか、そもそも経団連に加盟していない企業には制約にもなっていなかったため(旧帝大クラス・理系)
・チャンスが増えるから。同じ時期に行わないことは、たくさんの企業を受けることができるので(その他国公立大・理系)
【反対】
・ルールがあったほうが、選考時期が分かりやすい。また、ルール廃止により選考が早期化すると、大学院生などインターンに参加しづらい人にとっては不利だと思う(旧帝大クラス・文系)
・前年までの例を参考にできないのは非常に困るから(早慶大クラス・文系)
・ただでさえフライングしている企業もあるのに、早いところは早すぎて情報が追い付かない(その他私立大・理系)
【どちらとも言えない】
・撤廃されたところで、今すでに内々定や囲い込みは存在しているので、それが表に出てくるだけなのでは?という感じだから(中堅私立大クラス・文系)
・そもそも現状のルールを把握していない(上位国公立大・理系)
・すでに就活を始めているので、決まってしまっているものは仕方がない(旧帝大クラス・理系)