講師
デービッド・アトキンソン氏
株式会社小西美術工藝社 代表取締役社長
1965年英国生まれ。オックスフォード大卒。大手コンサルタント会社や証券会社を経て、1992年ゴールドマン・サックス証券会社入社。大手銀行の不良債権問題をいち早く指摘し、再編の契機となった。同社取締役を経てパートナー(共同出資者)となるが、2007年退社。 2009年に国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社入社、2014年に代表取締役社長就任、現在に至る。 2016年 財界「経営者賞」、2018年 総務省「平成29年度ふるさとづくり大賞個人表彰」、日本ファッション協会「日本文化貢献賞」受賞。 日本遺産審査委員、迎賓館アドバイザー、観光戦略実行推進タスクフォース有識者メンバーなどを務めている。 『日本人の勝算』など著書多数。
日本の未来は生産性向上にかかっている
最初に大変革時代の背景についてご説明したいと思います。本日一番のポイントは、「GDP=人数×生産性」であるということ。これだけ覚えていただければ、これから日本で起こり得ることは、だいたい理解ができるはずです。日本はこれから人口がどんどん減っていきます。よって、生産性が上がらないとGDPは上がらないとも言えます。学者の中には「人口が減ってもイノベーションを起こせば何とかなる」と言う人もいますが、イノベーションを起こしても給料が上がらないのであれば、それはただ単に素晴らしい技術を開発しただけのことで、何のメリットもありません。日本の総人口は、2015年に1億2,700万人だったのが、2060年には8,700万人(31.5%)も減ると予想されています。さらに15歳以上、64歳未満の人口は、2015年に7,700万人だったのが、2060年には4,400万人(42.5%)も減ると予想されています。多くの人は、「先進国はみんな減るでしょ」「韓国だって中国だって大変でしょ」と言うのですが、問題はそのスピードと大きさです。増減率は日本の31.5%に対して、韓国は5.6%、中国は9%、ドイツは13%くらしか減りません。人口減少という言葉だけで考えれば一緒ですが、31.5%というのは世界でダントツの人口減少比率です。日本は2015年から2060年までの間に、生産年齢人口だけで3,264万人も減ることになります。この数字がどれくらいかというと、私が生まれたイギリスの生産年齢人口が3211万人です。つまりは世界第3位の経済を誇る日本から、世界第5位の経済を誇るイギリスのすべての労働人口を上回る労働人口が、この日本から消えるということです。
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