少子高齢化、労働力の減少など、「課題先進国」である日本。これから日本企業が世界で戦っていくためには、多様な人材の能力を活用していくことが欠かせません。その試金石となるのが、女性活躍です。日本はどんな課題を抱えており、これからどう意識を変え、何を取り組むべきなのでしょうか。昭和女子大学 理事長・総長の坂東眞理子氏にお話をいただきました。

講師


  • 坂東 眞理子氏

    坂東 眞理子氏

    昭和女子大学 理事長・総長

    富山県生まれ。1969年東京大学卒業、総理府入省。 内閣広報室参事官、統計局消費統計課長、男女共同参画室長、埼玉県副知事、ブリスベン総領事などを経て、2001年 内閣府男女共同参画局長。2004年から昭和女子大学大学院教授・女性文化研究所長、2007年から昭和女子大学学長、2014年から学校法人昭和女子大学理事長、2016年総長(理事長兼務)現在に至る。 著書に300万部を超えるベストセラーとなった「女性の品格」他、「夢を実現する7つの力」「女性リーダー4.0」など著書多数。

イノベーションは多様性から ~女性の活躍が仕事を変える、社会を変える~

日本は、課題先進国であり、課題先送り国である

本日は、はじめに日本が抱える課題、そして女性活用における課題をお話しいたします。

日本は様々な課題を抱える「課題先進国」です。そこで本来は「課題解決先進国」にならねばならないのですが、今のところは残念なことに「課題先送り国」です。

まずは、少子化対策です。子ども手当や保育園など、子育て支援については政府も熱心に取り組んでいます。しかし、少子化対策に必要なのはそれだけでしょうか。若年層の収入が安定しないこともそうですが、男女間の結婚観、家庭観、子育て観に大きなギャップがあることも問題だと思います。

次に、高齢社会対策です。70代でも意欲と能力のある人は働くべきですし、逆に50代でも意欲と能力がなければポストから離れた方がいいと思います。しかし「エイジレス就労」は、一朝一夕では実現できません。「同一労働同一賃金」が難しい理由は、雇用形態だけではなく、年齢も大きいのです。同じ仕事でも年功で給料や処遇が違うというのは変える必要があります。そして社会保障改革も進めねばなりません。年齢に関わらずハンディキャップのある人にはセーフティネットを適用する。そのかわり働ける人は訓練し職業を紹介する、「ウェルフェアではなくワークフェア」の改革が求められます。

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