プロジェクトが始まる前、現場では何が起きているのか、実際にどのように社員は日頃の業績を評価されているのか、現状を調べます。多くの企業に関わるうちに、評価制度で躓いている企業の傾向が、大きく下記の3つに分けられることが見えてきました。
(1)過去コンサルティング会社に委託して制度を設計したが運用が途中で止まっている
(2)日本本社の人事制度をベースに移植したが機能しない
(3)評価制度だけを構築したが評価の判断に必須のジョブディスクリプションの記述、
等級の整備などが行われていない
これ以外にも、全く制度が存在せず、長い間総経理(社長)の独自の判断で社員の評価・査定を実施してこられているケースも多々見られます。
では、現場での運用はどうなっているのでしょうか。その実態を下記の2資料にまとめました。これらは、実際に遭遇した会社で作成した評価制度に基づき実施した結果を示すもので、上が『賞与査定、賞与評価比率』、下は『各評価ランクに与えられた賞与月数』です。
(この二表は同一企業ではないため内容は一致していません)
『賞与査定、賞与評価比率』は、各査定ランクごとに何%が該当するかをまとめた分布図となります。本来、「各人の業績を適正に評価し、その結果を会社が定める方法にて賞与などへの反映を目的とするもの」のはずです。しかし、評価は中央に偏り差がつきにくい状態になっています。せっかく評価制度を作り、その目的とするところを明確に持ちながら、現場においての評価結果は当初の目的に合致していません。かなり多くの企業においてみられる実態です。
課題としてこのように挙げるのは簡単ですが、評価される側の社員にとっては迷惑な話であり、優秀者離脱の原因になっていることは疑いのないことです。