経団連は2020年卒業の学生を最後に「就活ルール」の廃止を決定しました。今後は政府が主導で新たなルールを設けることとなり、2021年卒は現行日程路維持する意向だが、2022年卒以降の就活・採用活動が不透明なままとなっています。

ところが、「就活ルール」は廃止が決まる前から形骸化が進んでおり、就活の早期化は顕著になっていました。また最近ではソフトバンク、ヤフーのように新卒採用を一括ではなく、通年で行う企業も増えてきています。

就活を取り巻く環境が変化していくなかで学生の就活の進め方は変わっていくのでしょうか。就活生のキャリア支援を行う、NPO法人のen-courage(エンカレッジ)は2019年卒および2020年卒の学生にアンケート調査を実施。時期を合わせて、en-courageを利用する学生に対面でのインタビューも行いました。


【2019卒学生アンケート詳細】
2019卒学生を対象にしたアンケート。全国の大学/大学院に通う2019年卒の学生を対象に、
2018年6月14日~6月30日にインターネットでアンケート調査を実施。有効回答件数は610件。

【2020卒学生アンケート詳細】
2020卒学生を対象にしたアンケート、全国の大学/大学院に通う2020年卒の学生を対象に、
2018年10月13日(土)~10月14日(日)にインターネットでアンケート調査を実施。有効回答件数は1389件。
2020年卒学生は全国的に選考早期化傾向。インターン参加で意向度上昇、3割が内定承諾に至る

1.全国的に就活の早期化が顕著に

2020年卒学生は全国的に選考早期化傾向。インターン参加で意向度上昇、3割が内定承諾に至る
上のグラフは就活を開始した時期について質問した結果です。「就活の開始」の基準はインターンシップの情報収集、イベントへの参加など就活において具体的なアクションを起こした時期を基準としています。

2019卒の学生はサマーインターンが始まる前段階の6~7月,8~9月までに就活を開始している層が「早期に動き出している層」として認知されていました。しかし、2020卒の学生は、2019卒に比べて3月以前に就活を開始した層は2.2%の増加、4~5月に開始した層は、6.1%の増加を示しており、就活の早期化が顕著になっていることが伺えます。

就活生の意識はどうなのでしょうか。インタビューからの学生の声を紹介します。

「就活は4月には開始していました。外銀系の投資銀行やコンサルティングファーム志望というのはあったんですが、周りに早く始めた方がよい、という空気感があるのは事実です」2019卒・慶應義塾大学・男性

「就活は7月に始めました。地方学生ではあるので、周りから見ると早い方ですが、意識を高く持っている人の中にはさらに早い4月から就活をしている人もいます。」2020卒・東北大学・女性

学生には早期に就活を始める意識は、地域を問わず醸成されているようです。

2.【19卒】約76%の学生がインターンに参加

2020年卒学生は全国的に選考早期化傾向。インターン参加で意向度上昇、3割が内定承諾に至る
2019卒の学生にインターンへの参加状況を訊いたところ、サマー/ウィンターともに7割以上の学生が参加していることがわかりしました(上図参照)。


同時にインターンに参加を決める基準も調査しました。インターンの参加を決める基準として、「プログラムが魅力的かどうか」「知識・スキル・能力の向上可能性」「選考へ直結する可能性」「企業の知名度」など11項目から最も当てはまるものを選んでもらっています。

サマーインターンでは「プログラムが魅力的かどうか」が31.9%でトップ、「企業の知名度」が15.0%で次点となりました。

一方、ウィンターインターンでは「プログラムが魅力的かどうか」が25.5%で最も多く、次いで「選考へ直結する可能性」(19.5%)という結果でした。

インターンに参加した学生にその理由を尋ねたところ、以下のようなコメントがありました。

「東京で開催された、新規事業立案系のインターンに参加しました。理由は、就活を進める上で、東京の学生のレベル感を確かめたいと思ったからです。案の定優秀な人ばかりで焦りましたが、相談できる仲間もでき本当に価値のある時間でした」2019卒・北海道大学・男性

3.【19卒】サマーインターンは約18%ウィンターインターンでは、約25%の学生がインターン参加から内定承諾

サマー/ウィンター両インターン参加者の選考から内定承諾までに至る歩留まりはどうなっているでしょうか? その結果を下図で示しています。サマーインターン参加からの内定承諾に至ったのは約18%、ウィンターインターンに参加した学生のうち内定承諾した学生は約25%となっています。

また、ウィンターインターン参加者の方が、サマーインターン参加者より選考の各フェーズでの歩留まりが高くなっていました。春からの本選考時期に近い冬に企業活動を知ることで、意向度が高まる傾向がうかがえます。
2020年卒学生は全国的に選考早期化傾向。インターン参加で意向度上昇、3割が内定承諾に至る

4.【19卒】サマー/ウィンターインターン経由の内定承諾 就活開始時期による違いが

2019卒学生に、サマー/ウィンターインターンをきっかけに内定を承諾した企業があるかどうか、就活の開始時期別に調査しました。

本調査では、サマー/ウィンターインターンそれぞれのインターン参加から、本選考参加、内定、内定承諾それぞれのプロセスごとにN数と歩留まりを算出。そのうち、就活開始時期別にサマー/ウィンターインターンそれぞれについて、参加からの内定承諾率を下のグラフにまとめました。
2020年卒学生は全国的に選考早期化傾向。インターン参加で意向度上昇、3割が内定承諾に至る
サマーインターンでは、3月以前と早い時期から就活を開始した学生の内定承諾率は30.7%と、他のどの時期よりも高くなっています。

一方、ウィンターインターンでは、6~7月に就活を開始した学生の内定承諾率が32.0%と最も高くなりました。6~7月に就職活動を開始し、サマーインターンでの経験をもとに、自分の軸を見極め、本命企業のウィンターインターンに参加して成果に確実につなげている学生が多いようです。
  • 1

この記事にリアクションをお願いします!