インターンシップを採用に活用する企業が爆発的に増え、インターンシップ・バブルとでも言える状態の日本の新卒採用市場。しかし、求める人材像に合致する学生が来ない、学生の応募がないなど、うまく機能しているとは全く言えない状況だ。どのようにして求める人材をインターンシップに呼ぶことができるのか。そもそもインターンシップのあるべき姿とはどのようなものなのか。最近、学生と企業をAIがつなぐインターンシップ求人サイト「スカウトシップ」をオープンした(株)ナジック・アイ・サポートの新規事業推進室室長・キャリア支援部部長の渡辺裕子氏にお話を伺った。
学生と企業の最適なインターンシップ・マッチングをAIで実現する~ 学生が制作、運営に参加する「スカウトシップ」の仕組みとは

大学との信頼関係のなかでさまざまな事業を展開

学生と企業の最適なインターンシップ・マッチングをAIで実現する~ 学生が制作、運営に参加する「スカウトシップ」の仕組みとは
寺澤 昨今、新卒採用においてインターンシップが重要という認識が広まる中、「採用が前倒しになっているだけではないか」あるいは「本当に学生のためになっているのか」など様々な声が聞かれます。今日は渡辺さんが今の状況をどうご覧になっているか、また、現在のインターンシップが抱える課題やあるべき姿などについてお伺いしていきたいと思います。まず、貴社が今まで学生支援に携わってこられた、その経歴についてお話しいただけますか。

渡辺 弊社が東急不動産ホールディングスグループの一員になったのは2016年11月で、それ以前から、学生情報センターの社名で大学の学生部をサポートする事業を展開してきました。学生部の仕事は大きく分けると下宿相談、アルバイト相談、奨学金の3つです。弊社がまず手掛けたのは下宿相談の部分で、大学から依頼を受けて寮の管理を行ったり、学生専用マンションの建設・運営を行ったりしてきました。学生の親御さんにとっては大事なお子さんを住まわせる場所ですから、24時間サポートなど、安全安心のしくみを提供することを重視してきました。

寺澤 その関連でアルバイト相談についても関わるようになったわけですね。

渡辺 はい。昔は学生部の掲示板にアルバイト募集の張り紙が出されていたものですが、求人の取り次ぎ、トラブル対応など、非常に煩雑な作業を伴います。弊社のそれまでの運営を信頼してくださったということで、このアルバイトの掲出業務を手伝ってもらえないかと大学からご依頼があり、現在では約260校で大学公認のアルバイト紹介サイト「学生アルバイト情報ネットワーク(バイトネット)」を運営しています。
 そうするうち、学生からは「将来就きたい仕事があり、そのために役立つようなアルバイトをしたい」という声が入るようになり、企業からは「人材要件にあった学生を紹介して欲しい」というお問い合わせも入るようになりました。そこで、インターンシップのマッチングプラットフォームとして「スカウトシップ」というサービスを今回新たに始めることにしたのです。私たちは大学との信頼関係のなかで事業を行っていますので、単なる労働力の提供とならないよう、学生の学びの場、キャリア教育としてのインターンシップを学生に提供することを基本的な考え方としています。
学生と企業の最適なインターンシップ・マッチングをAIで実現する~ 学生が制作、運営に参加する「スカウトシップ」の仕組みとは
寺澤 いわゆるコーオプ教育(Cooperative Education)の考え方に近いですね。

渡辺 はい、コーオプ教育とは学んでいる専門科目に関連する就業体験をさせることで、学生の成長につなげていく教育方法です。座学と実学を融合させた、望ましいキャリア教育だと思います。

学生が求めるインターンシップとマッチングの課題

この記事にリアクションをお願いします!