その中で、昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合して2023年に誕生した株式会社レゾナック・ホールディングスは、強力なトップのコミットメントのもと、2030年に「世界トップクラスの機能性化学メーカー」になることを掲げ、グローバルでイキイキと活躍する人材育成に取り組んでいます。
今回は株式会社プロゴス 取締役会長 安藤 益代氏を聞き手に迎え、レゾナック・ホールディングスのCHRO今井のり氏に、同社の人材戦略や具体的な取り組みについて伺いました。
【出演者】
■今井 のり氏
株式会社レゾナック・ホールディングス
取締役 常務執行役員 最高人事責任者(CHRO)
慶應義塾大学理工学部卒業後、旧日立化成に入社。経営企画、オープンイノベーション、米国駐在(営業)、蓄電池やモビリティーなど複数事業の企画・事業統括を経て、2019年執行役に就任。昭和電工との統合では、旧日立化成側の責任者としてリード。2023年に発足したレゾナック・ホールディングスのCHROとして、HR改革や企業文化醸成、事業戦略に合致した人材育成に注力。
■安藤 益代氏
株式会社プロゴス 取締役会長
大学卒業後、野村総合研究所、ドイツ系製薬会社を経て渡米。シカゴ大学大学院(国際関係論MA)、ニューヨーク大学経営大学院(MBA)大学院ならびにNY日系証券会社勤務を経て帰国後、英語教育・グローバル人材育成事業に25年以上従事。英語アセスメント団体ならびにEdTech企業の執行役員を経て2020年より株式会社レアジョブに参画。レアジョブグループにて2022年4月より現職。ISO 30414リードコンサルタント・アセッサー。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招へい研究員。
グローバルカンパニーを目指すために、CEOとCHROが本気でカルチャー醸成に挑む
安藤氏:貴社は2022年1月、代表取締役社長に髙橋 秀仁氏が就任されましたが、その際「人材育成にすべてを懸ける」と表明されました。まずは、その考えに基づき、どのような変革を行っていらっしゃるのかお聞かせください。今井氏:昭和電工と旧日立化成が統合する際、髙橋は昭和電工、私は旧日立化成でそれぞれ統合を担当していました。そこで話をしたところ、「企業価値向上のためのカギは人材である」という根本の考えが共通していたのです。
「究極の戦略は人材」という考えを原点としたときに、2つの軸があると考えました。1つは、一人ひとりの個性に合わせて能力を最大化するということ。そしてもう1つは、そうした人材が活躍できるカルチャーを醸成するということです。この2つを実現するために、様々な施策をスピーディーに実行していきました。
具体的な施策としては、人材育成の面ではリーダーシップ育成プログラム、サクセッションプランの議論の仕組みを作っていきました。そしてカルチャー醸成の面では、経営からの発信やワークショップ、研修の実施などを進めています。
今井氏:その通りです。ただ、戦略的にカルチャーをつくることは、従来の日本企業はなかなかできていなかったことだと思います。統合の際、CxOのファンクションを、ベンチマークしているグローバル企業と比較してみました。すると、最も差が大きかったのが、日本の人事とCHROだったのです。中でも大きな差があった項目が、カルチャーに対して責任を持っているかどうかでした。そこで、レゾナックではCHROのポジションを設置し、人材育成とカルチャー醸成にコミットしていくことにしたのです。
安藤氏:先日も、日本と海外とのリーダーの違いについて話す機会があったのですが、やはり「グローバルリーダー」と言われる方は、自分の役割に対して全身全霊でコミットしており、さらにその姿勢が周囲にも伝わっている人だと思います。貴社のトップはまさにグローバルリーダーを体現されているように感じます。トップから従業員への発信も頻繁に行っているのでしょうか。
安藤氏:トップは各拠点長に戦略や方針を下ろして、現場に落とし込むのは各拠点長に任せきりというケースも散見されます。しかし特に大きなカルチャー変革を実施するには、トップが時間を割いて現場と直接対話することが、エンゲージメントや生産性の向上においても重要なのですね。
協力:株式会社プロゴス
この後、下記のトピックが続きます。
続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。
●レゾナックが重視する「共創型人材」の創出、その背景
●人材制度改革をなぜ圧倒的スピード感で推進できたのか?
●多くの企業から関心を集めるレゾナックのサクセッションプラン
●グローバル環境でも活躍できる人材を生むDE&Iの取り組み
●さらなる成長を見据えた、人事としてのチャレンジとは?
- 1