外国人というマイノリティな立場になる
人材ビジネスを展開するべく、最初にインドネシアに来たのは2014年1月。インドネシア語はもちろん、英語もほとんど話せず、海外で働いた経験も全く無かった。だが、人事部や人事コンサルの仕事を長く経験していたことから、「採用や教育の仕事であればなんとかなるか」と、軽い気持ちで飛び込んだ。4年経った今、いろいろな方々から機会をいただき様々な仕事に取り組めているものの、これまでを振り返ると、多くの葛藤や苦労があった。いや、今も葛藤と苦労の途中である。しかし、本当に思いきって飛び込んでよかったと思っている。国籍、宗教、生活環境、思考パターンの違う人たちと、知恵を出し合い、力を合わせ、1つの方向に向かっていく。しかもマイノリティな外国人としての立場としてそこへ加わることは、私自身の価値観を広げ、この4年間で得た経験と人脈はとても大きな財産となった。インドネシアでの展開を考える方々においては、このコラムを通じて何かしらのヒントを得ていただければ幸いだ。またインドネシアのみならず、海外への扉を開けることを考えている方にも是非読んでいただきたい。
多様性の中の統一というモットー
ASEANの盟主といわれるインドネシアだが、そもそもどういう国か。インドネシア共和国は、東南アジア南部に位置する共和制国家。国土は5,110kmと東西に非常に長く(アメリカ・中国よりも長い!)、人口は2億5,000万人を超える世界第4位の規模。ジャワ族(9,520万人:全体の40.2%)、スンダ族(3,670万人:全体の15.5%)、バタク族(850万人:全体の3.6%)という3つの主要部族が有名だが、全体では約1340民族・742言語という多様な民族で構成される。昨年、西パプア州に住むダニ族の村を訪れたが、彼らはいまだ裸に近い姿で暮らし、独自の文化を有する。
魅力的な人口構成
平均年齢は日本の46.5歳と比較して27.8歳と非常に若く、日本と比較をした人口ピラミッドでもインドネシアの市場の魅力を確認できる。また、「総人口に占める働く人の割合」が上昇し、経済成長が促進されることを指す「人口ボーナス期」(※1)で比較すると、日本ではこの「人口ボーナス期」は1992年に既に終了しているが、なんと、インドネシアは2026年まで続く。(参考データはすべて国連の「World Population Prospects」)。日系企業は1,698社(※2)進出しており、車・家電・日用品など、街には「Made in Japan」が数多く並ぶ。PWC社は昨年の調査レポート(一部抜粋)で、「2050年までにインドネシアは第4位の経済大国となり、日本、ドイツなどの先進国を抜く見通し」と発表した。今後さらに影響力が大きな国になっていくだろう。
(※1):生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口層)が従属人口(生産年齢人口以外の人口層)の2 倍以上おり、かつ従属人口比率が低下している期間
(※2):ジェトロ調べ(2017年10月時点)