講師
松田 豊弘氏
HRDユニバース株式会社 代表取締役社長
(元 三菱商事株式会社人事部グローバル研修・採用オフィサー)
1981年三菱商事(株)法務室入社、83年本社人事厚生部、89年ジャカルタ駐在事務所総務人事課長、96年本社国際人材開発室、98年在香港グローバルヒューマンネットワーク社総経理、2000年本社業務部国際人材開発チーム、08年HRDセンター長代行(兼)国際人材開発室長、09年在シンガポールアジアHRDオフィス室長、12年アジア大洋州統轄付アジアHRDオフィス室長、16年本社グローバル人事部グローバル研修・採用担当オフィサー、17年4月より現職。
{受賞歴}
シンガポールヒューマンキャピタル賞ベスト10入賞 (ショートリスト)、16年 HRエクセレンス賞(3部門で銅メダル)
2017 World HR Congress グローバルHRリーダー100人に選出、2017 Asia HR Congress アジアベスト50HRリーダーに選出
ODのセクションを置く日本企業はなぜ少ないのか
私は、去年まで三菱商事で長年グローバル人材開発に携わってきました。その中で思い至ったのは、今後、日本企業が世界のベスト 10 に入るためには、「バイリンガル・コンピテンシー」が必須だということであり、そのためには Results-BasedLeadership、すなわち、結果を出せるリーダーシップを実現する人を増やさなければならないということです。その思いから、シンガポールで HRD ユニバースという会社を設立しました。まず、皆さんに伺いたいことがあります。会社を変えるため、業績を伸ばすために尤も必要なこととは何でしょうか。弊社では、最重要のヴィジョンとして3つ挙げたいと思います。
1つ目は、「社内価値」と「社外価値」を常に意識する人間をつくる、あるいは採用することです。自分が今いるA社ではなく、同業他社のB社に雇われたらどうだろうと考える、Human Capital(人財:人的投資に対してリターンがある人材)としての物差しを持つことです。2つ目は自己より上位のグローバル企業を常にモニターすること。例えば、フォーチュン 2,000の100位以内に日本企業は 7社ほどしか入っていません。100位以下の企業は、5位以内の企業が組織として、また個々の組織構成員が何をやっているのかを、社員全員が各自の階層に応じ、意識して情報を集め、改善のための学習をし、改善を実施しないといけません。そういう会社だけがより上位のグローバル起業になれるわけです。3つ目は、いまの自分の仕事の「市場価値」を常に Evaluate(値踏み)することです。この3つをバイリンガルで励行すれば、日本の会社はグローバルに変わるのではないかと考えています。
そして、今日お話しするテーマ、G.O.D(ジーオーデイ=Global Organizational Development;以下4グローバル OD)は、おそらく 2020年までに日本にとって最も重要な言葉になります。しかし、現状では、ODのセクションを持っている日本企業はほとんどありません。多くの日本企業ではHRと戦略が分かれています。ODは両者を統合するセクションですが、それがないわけです。ODのセクションを持つ日本企業を増やさなければならないというのは、今日申し上げたいことのひとつです。
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