期の初めに「チャレンジシート」や「目標管理シート」といった名称のシートに目標をいくつか設定し、期末に達成度を評価するというものです。
これを人事評価に反映させている企業もありますし、マネジメントツールとしてのみ活用している企業もあります。
理由は、青山学院大学陸上部の原監督が部の運営で目標管理を活用し、2009年に33年ぶりに箱根駅伝出場、そしてご存じのとおり今年の優勝で3連覇を達成したからです。選手一人ひとりに年間の目標・月の目標・週の目標を立ててもらい、6名程度のグループでお互いに目標への進捗度合いを確認し合うそうです。グループは、学年やレギュラー・非レギュラー混在で組成し、いろいろな立場から意見を出し合うことで気づきを得ているそうです。
何よりも、お互いの目標に熱心にアドバイスし合うことで、チームの一体感が強化されそうですよね。確かに、テレビの放映などで見る限り、非常に雰囲気がよく一致団結しているチームであるように感じられます。
一方で、企業における目標管理は効果を発揮しているでしょうか?
もちろん、効果的に運用している企業もあります。しかし、多くの企業では形骸化しているのが現実です。期の初めに目標を立て、上司に提出してからはお蔵入り・・・。中間チェックのある半期末に久しぶりにシートを見て、「あれ、こんな目標立ててたんだっけ」という状況も少なくありません。
つまり、目標を意識しないまま日々を送っているのです。
目標管理の本来の目的は、自分の目標を自分で掲げ、目標達成のために何をするかを考えることで、「やる気」と「能力」を高めることです。
自分で考えた目標であれば、「何とか達成したい」とやる気になりますし、意欲的に目標達成に向けて動くことで、結果的に能力も高まりやすいということです。
目標管理を形骸化させず、一人ひとりの「やる気」と「能力」を高められるかどうかは、私たち上司の動きにかかっています。
通常、多くの企業では期の初めに、部下が掲げた目標を上司と一緒に確認し合う「目標設定面談」が設けられています。この面談を単に「儀式」としてさらっと終えてしまうと目標がお蔵入りしてしまいます。
目標設定面談では、部下に「なぜ、その目標を掲げたか」を話してもらい、熱心に耳を傾ける。そして、どうすれば目標を達成できるかを一緒に考え、達成できた時の喜びを語り合う。部下としては「上司が自分の目標について、ここまで考えてくれたのだから、熱心に取り組まなくては!」と感じます。このような「熱い」面談をやらずして、目標管理は絶対にうまくいきません。
しかし、熱は結構すぐに醒めます。1か月もすると設定した目標が頭から薄れていくのです。そこで重要になってくるのが「途中チェック」です。目標達成に向けて行動がとれているかを確認し、達成に向けてのより良い動きを考えるのです。
しかし、これを一人でやるのは至難の業です。青山学院大学の原監督は、この途中チェックを部員同士でやらせることで、高い効果を出しました。この方法は、企業でも大いに参考になります。職場で小グループを作り、毎月ミーティングを行って目標への進捗を確認し合い、アドバイスし合う。日頃のチームではなく、チーム横断の小グループをつくって確認し合うのも、新鮮な刺激をもらえて効果的かもしれません。
多くの企業では、途中チェックも「上司と部下」の1対1で行うだけのケースが大半ですが、青山学院方式の「メンバー相互チェック」は、目標に向けてまい進する「強いチーム」をつくるのに大変効果がありそうですね。
ぜひ、試してみてください。
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