インターンシップに積極的な中堅・中小企業

ここからは、インターンシップについて見ていきます。まずは、「2024年卒採用向けインターンシップの実施状況」です。「未定・検討中」とする企業も2割弱ある中で、全体で57%の企業が「実施する」(「前年は実施していないが、今年は実施する」と「前年同様に実施する」の合計、以下同じ)と回答しています[図表9]
[図表9]2024年卒採用向けインターンシップの実施状況
「実施する」とした割合は、企業規模別に見ると、大企業72%、中堅企業69%と7割前後に達したのに対して、中小企業は40%と差が開いています。2022年3月に実施した「2023年新卒採用動向調査」と比較すると、大企業と中小企業では大きな差異は見られないものの、中堅企業は「実施する」が9ポイントも伸びており、今年は中堅企業も、大企業に負けずに積極的にインターンシップ(=早期から採用活動)に着手している様子がうかがえます。

次は「2024年卒採用向けインターンシップの実施時期」です。全体では、「2022年8月」が52%で最多、次いで「2022年12月」51%、「2023年1月」49%と続きます[図表10]。これまでは、「8月」「9月」の夏季休暇中に一つ目のピークを迎え、次のピークは「翌1月」「2月」の後期試験終了後になるケースが通例でしたが、今回は少し様子が異なります。一つ目のピークである「8月」から「9月」にかけて実施率の落差が大きいこと、さらに二つ目のピークが「1月」から「12月」に前倒しになっていることです。
[図表10]2024年卒採用向けインターンシップの実施時期(複数回答)
企業規模別に見ると、もう一つの違いが見られます。それは、大企業に比べて中堅企業の実施割合がおしなべて高いことです。「2022年6月以前」という早期こそ、中堅企業は大企業の半分程度の実施率にとどまっていますが、「7月」以降はほぼすべての月で大企業を上回ります。中でも「8月」と「12月」はともに60%にも上り、最多となっています。これは大企業より15ポイント前後も高い割合です。中小企業においても、「8月」と「12月」は大企業を上回る50%となっているほか、「2023年1月」が最多で、中堅企業をも上回る58%となっています。

インターンシップの実施率でこそ、大企業・中堅企業と中小企業では差がありましたが、実施する企業だけに絞っての積極性という観点で見れば、中堅・中小企業が大企業をしのぐ勢いであることが分かります。

対面へ戻り始めたインターンシップ

コロナ禍以降、セミナー・会社説明会や面接だけでなく、インターンシップにもオンライン化の波が打ち寄せていましたが、2024年卒採用ではどうなるのでしょうか。

「2024年卒採用向けインターンシップの実施形式」を「すべて対面形式で実施」、「対面形式とオンライン形式を混合して実施」、「すべてオンライン形式で実施」の3択で回答してもらった結果は[図表11]のとおりとなりました。全体では、「対面形式とオンライン形式を混合して実施」が最多で38%、次いで「すべてオンライン形式で実施」と「すべて対面形式で実施」がそれぞれ32%、30%で拮抗しています。
[図表11]2024年卒採用向けインターンシップの実施形式
ただ、企業規模別に比較すると、規模によって全く異なる様相を呈しています。大企業では、半数が「対面形式とオンライン形式を混合して実施」、「すべてオンライン形式で実施」35%に対して、「すべて対面形式で実施」は15%と、オンライン派が優勢です。中堅企業になると、「すべて対面形式で実施」が25%と伸び、オンライン派との差は減少し、中小企業に至っては「すべて対面形式で実施」が52%を占めるなど、圧倒的に対面派が多くなっています。

ここ数年のオンライン化の中で受け入れ人数を大きく伸ばしてきた大企業にとって、対面形式での実施は新型コロナ感染症対策を講じなくてはならないという対応の手間もありますが、それ以上に同規模の対面形式への切り替えは会場や運営体制の確保など、物理的に難しくなっているのではないかと思われます。

この記事にリアクションをお願いします!